そして、この日の『あさイチ』は、VTRでこうした現実を伝えただけではなかった。スタジオでも、沖縄の人たちが抱える苦しみを共有しようという声が相次いだ。
まず、コメンテーターの室井佑月氏が「日本全体で考える問題」「せめて米軍がどうしても必要なら国が丁寧な説明をしてほしい」と怒りの声を上げると、井ノ原が「本当によく頑張った、12万件。だって自分たちだってやりたいこと、いっぱいあるのにさ」と、母親たちにエールを送ったあと、こう熱く語った。
「いますぐには(基地を全部)なくしてくれって無理な話かもしれないですが、でも徐々にって考えたときに、こういう声が上がっているっていうのを、アメリカ側もちゃんと理解して、そこにいるんだから、もちつもたれるでやらないといけないのに、なんか冷たいような気がするじゃないですか」
「こんな思いをしている人がいる。それをもしかしたら知らないかもしれない。知ったら本当にちゃんとしようって思う人がいるかもしれないし。落下だけは避けようとか。せめてそれだけは伝わってほしいですよね」
番組コメンテーターである柳澤秀夫解説委員は、さらにこんな踏み込んだ発言もしていた。
「沖縄に在日アメリカ軍基地施設の70%が集中しているってことで、向こうに全部押し付けちゃっているんだって。そこにどうやってイマジネーションを働かせて想像できるかっていうことだと思うんだよね」
「見ているとね。よく福島の原発事故の現実と沖縄の現実と、ぼく重なって見えることがあるんだよね。自分も問題として考えたときに自分はどういうふうにすればいいのか、何を言えばいいのかって非常に似ているような気がするんだよね。本当に東京の真ん中に基地ができるかどうかっていう話を考えてみたらどうか、原発を置いてみたらどうかっていう話と共通するような」
また、視聴者の声として「これだけ危険なのだから、一刻も早い辺野古移転が必要では」「番組では米軍は危ないという意見ばかり、では米軍は不要ということ?」という、番組内容を曲解、揚げ足をとるような意見が紹介されると、井ノ原は語気を強めてこう断言した。
「そういう話はしていない。今日はお母さんたちの気持ちで、そこだけに焦点を当てて話しているので」