たしかに怪しげな点はいくつもある。例えば、あんさんぶる荻窪の廃止に反対する町会長が田中区長を訴えた「7つのハンコ事件」裁判では、「財産交換には一定の理解を示す」と書かれた住民の要望書を、区職員がデッチ上げたことが争われている。虚偽の説明を受け、あんさんぶる荻窪廃止の財産交換に賛成したかのように扱われ精神的苦痛を受けたとして、区長に賠償を求めている。
また虚偽の要望書が作成された翌月の2014年8月には、要望書作成に直接関わっていなかったとされるものの、再開発事業担当の土木部長が自殺をしている。さらに財産交換の根拠となった不動産鑑定評価額に対しても正当性に疑問符がついている。「評価額の算定が適切に行われたのか」「検証が困難な状況」「利害関係者が関わって影響を与えたのではないか」などの疑問が噴出しているのだ。
「疑問や疑惑まみれの財産交換計画は、いったん立ち止まって考え直すべきです。2年前に小池百合子都知事は豊洲移転見直しを宣言しましたが、まずは事業推進を凍結した上で“闇”に包まれた決定過程を徹底的に検証することが大切です」(前出・杉並区議)
麻生大臣と田中区長の意気投合で産み落とされた「あんさんぶる荻窪と国有地財産交換」は、“杉並版第二森友事件”として弾けかねない要素をいくつも抱えている。この問題からも当分、目が離せないようだ。
(横田 一)
最終更新:2018.03.23 10:01