本サイトでは何度も言及してきたが、今回の改ざんは、麻生太郎財務相が主張している「佐川宣寿前理財局長が国会答弁に合わせるかたちで書き換えた」というような話ではけっしてなく、安倍首相の「私や妻が関係していたということになれば総理も国会議員も辞める」という答弁に合わせて改ざんしたとしか考えられない。しかも、約300箇所にもおよぶ改ざんは役人の判断でやれるようなものではない。政治の力が働いていたことは明白だ。
しかも、公表された改ざん前文書によって、土地取引に昭恵夫人が深く関与していたことがはっきりしたが、問題はそれだけではない。じつは、安倍首相自身が、土地取引の段階から何らかのかたちでかかわっていた可能性もあるのだ。
というのも、森友学園と国の間で土地のゴミ撤去費用交渉が行われていた最中、安倍首相は国有地払い下げの“責任者”と何度も会っていたという事実があるからだ。
たとえば、借地契約締結後の2015年9月4日、小学校建設工事を請け負った設計会社所長ら森友学園関係者が近畿財務局を訪ね、近畿財務局の統括管理官と大阪航空局調査係と話し合いをおこなっているが、この森友学園と国が面談した日の前日、安倍首相も官邸である人物と会っていた。その人物とは、当時、財務省理財局長だった迫田英典氏だ。
首相動静によれば、15年9月3日午後2時17分、迫田氏は理財局長として、財務省の岡本薫明官房長とともに官邸入り。10分間、安倍首相となんらかの話し合いをもっている。しかも、その翌日の午後、安倍首相は国会をサボって大阪入りし、読売テレビの『情報ライブ ミヤネ屋』に生出演したあと、冬柴鉄三元公明党幹事長の次男の料理店「かき鐵」で食事。一方、昭恵夫人はそのまた翌日の9月5日に、森友学園の経営する塚本幼稚園で講演をおこない、その場で小学校の名誉校長に就任している。
安倍首相と迫田氏が面談したのはこれだけではない。迫田氏は2015年7月に国有地を管轄する理財局長になってから、首相動静に記録されているものだけでも、7月31日、8月7日、9月3日、10月14日、12月15日と、半年の間に5回も会っているのだ。総理大臣が、主計局長や主税局長と違って傍流の理財局長とこんなに頻繁に会うというのは異例のこと。実際、前任の理財局長・中原広氏が総理と面談したのは在任中2回だけだった。