また、きょう提出される改ざん後の決裁文書では、ほかにも改ざんの形跡が浮かび上がる可能性がある。たとえば、森ゆうこ議員は、昨年2月に国会に提出された決裁文書の調書部分にはパンチ穴の影がコピーされていたのに、近畿財務局で入手した「原本の写し」の調書にはそのパンチ穴の影がないと指摘していた。
5日、森議員らが閲覧した近畿財務局保管の決済文書の写しはカラーコピーだったことがわかっているが、小西議員は、こうした改ざんの形跡をより詳しく検証するには、カラーコピーを入手する可能性があるという。
「カラーコピーを見ると、経年劣化が分かるので、後から改竄文書に差し替えた場合、調書だけが色合いが違うページになっていることが分かる可能性がある」
しかし、きょうの予算委員会理事会で、カラーコピーが提出される可能性は低いかもしれない。というのも、財務省や近畿財務局はここまでカラーコピーを渡すことを徹底して拒否していたからだ。
5日、近畿財務局で決裁文書の写しを閲覧した森議員らに対しても、渡されたのは白黒コピーだった。
また、小西議員は財務省から理不尽な拒否のされ方をしている。小西議員は近畿財務局が保管していた決裁文書のカラーコピーと同じものが財務省にもあるとの情報を聞き、財務省の担当者に「カラーコピーを取らせて欲しい」と要請。すると、了解が取れて、6日の16時半すぎに杉尾秀哉参院議員と一緒に財務省を訪問することになったのだという。ところが、実際に行ってみると、対応は一変していた。
「担当者は行く前は『カラーコピーを用意しておきます』と言っていたのに、財務省に到着すると、『コピーを渡せなくなった』と態度が一変させた。押し問答をして再びカラーコピーを渡してもらうことになったが、40分くらいして担当者が戻ってくると、また渡せないと言い出した。仕方がないので財務省理財局を訪ねて、閲覧をしようとしたが、部屋に鍵がかかっていて入れなかった」
この問題に関する5日の野党6党合同ヒアリングでも、立憲民主党の辻元清美国対委員長が「財務官僚の対応が急に変わって文書提出を拒否するようになった」と財務官僚を問い質すやりとりがあったが、小西議員と杉尾議員も、まったく同じような経験をすることになったのだ。
これは、改竄の手がかりを知られると恐れてカラーコピーを手渡すことを取り止めたようにしか見えない。
きょうの参院予算委員会理事会に提出される決裁文書のコピーがカラーか、白黒かはまだわからないが、この対応を見る限り、カラーコピーである可能性は限りなく低い。
それにしても、改ざん後の文書すらこういうかたちで隠蔽をはかっているのだから、今後、改ざん前の原本を出すことなどありえるのだろうか。「内閣総辞職の回避が至上命題の官邸が財務省に圧力をかけて、改ざんの証拠を出させないようにしている」という見立ては現実味を帯びるばかりだ。
(横田一)
最終更新:2018.03.08 08:47