自由民主党HPより
安倍首相の「裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者より短いというデータもある」という答弁の根拠が杜撰な“捏造データ”であったことが昨日判明したが、本日開かれた衆院予算委員会で、安倍首相が驚きの答弁をおこなった。
「データを撤回すると申し上げたのではなくて、引きつづき精査が必要と厚労省から報告があったため、精査が必要なデータに基づいた答弁について撤回し、お詫びをした」
データを撤回したのではなく、データに基づいておこなった答弁を撤回しただけ。だからデータは撤回しない、と言うのである。
盗人猛々しいとはまさにこのことだ。問題となっている2013年度「労働時間等総合実態調査」は、裁量労働制で働く人には「1日の労働時間」を聞いていた一方、一般の労働者には「1カ月で“最長”の1日の残業時間」を聞き、そこに法定労働時間の8時間を足して算出。つまり、一般の労働者の労働時間が長く出るような質問をおこなっていたのだ。
このように、本来ならば決して比較してはならないものを同列にし、安倍首相は国会で「裁量労働制のほうが一般労働者よりも労働時間は短い」と答弁をおこなった。その結果、たとえば読売新聞などは社説でこの答弁を引いた上で、〈(裁量労働制は)漫然と残業するより、短時間で結果を出せる職種は少なくない〉(1月30日付朝刊)などと書き立てたのだ。
だが、厚労省が「裁量労働制のほうが一般労働者よりも労働時間は短い」と裏付けるデータを「もちあわせていない」と答弁しているように、そんな事実はない。むしろ、厚労省の要請で独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が調査した結果では、1カ月あたりの平均実労働時間は一般よりも裁量労働制のほうが長時間と出ているのだ。
にもかかわらず、安倍首相は、この期に及んで無反省な態度で言い訳をくどくどとつづけた。
「この問題について、詳細に事実をすべて把握しているのは厚労大臣。私はもちろんこの予算について森羅万象すべてのことについて答えなければならない立場だが、すべて私が詳細を把握しているわけではない」
「(データは)厚労省から上がってくるわけで、それを私は参考にして答弁をしたということ。これ以上のものではない」