菅氏は「名護市長選の民意は基地容認」であるかのように反論したわけだが、後で詳しく述べる通り、存在し得ない架空の基地容認の民意をデッチ上げたに等しかった。8日午後の望月氏の質問に対して菅氏は次のように答えたが、これを産経はそのまま受売りしたのだ。
〈(望月氏の質問内容を紹介した直後に)菅氏は「選挙の結果に基づいて、それぞれの首長が政策を進めるのが民主主義の原則であり、原点だ。世論調査のほうが民意を反映しているというのはおかしい。世論調査が優先されることはない」と強調した〉
午後の会見でも菅氏は選挙結果がまるで基地容認であるかのようなフェイク発言をし、それを産経がファクトチェックをせずに受け売りした。望月氏の質問への反論をするために、両者の思惑が一致して産み落とした合作捏造記事とも思えるものだ。
この菅氏のフェイク発言の狙いは、「名護市長選で市民(有権者)が基地を容認した」という架空の民意を無理やり作り上げようとするものだろう。そのためには、望月氏への反論によって「世論調査結果(基地反対66%)は名護市民の民意ではない」と強調する必要があった。その上で「新基地建設(埋め立て)反対を訴えた稲嶺氏が落選をしたのだから、選挙結果は基地容認の民意。それを優先すべき」と主張、自分たちに都合がいい結論に導くという手法である。
しかし前回の本連載でも指摘したが、今回の名護市長選の経過や渡具知氏の勝因を検証すれば「基地容認の民意」が架空の代物であることは一目瞭然だ。