能町氏が連載休載を宣言したのは、2月2日のこと。以下のようなツイートを連投した。
〈来週の原稿をもって週刊文春の連載を当面休載します。〉
〈週刊文春の一部の報道が非常に追従的で、内輪のリーク合戦の片棒を担がされているだけに見え、その情けなさに強く幻滅したため降板を考えましたが、降板では自分の発言機会を失うだけなので、最大限にわがままな休載という形を取りました。復帰の時期(というか復帰させてくれるかどうか)は未定です。〉
この「週刊文春の一部の報道」が日馬富士暴行事件以降の相撲報道を指しているのは明らかだ。実際、この2日前、31日にはこんなツイートもしていた。
〈コラ文春ボケカス、相撲報道で新潮とまったく同じ路線とってんじゃねーよ腰抜けが。〉
〈ジャニーズだとかレプロだとかにも腰が引けなかったあの体勢忘れたんかボケが。みんなで同じ方むきやがって。めっちゃ腹立ってるぞ。〉
連載執筆者とは思えない辛辣なトーンだが、能町氏の怒りはよくわかる。「週刊文春」はこの間、白鵬や八角理事長一派叩きの急先鋒を演じてきたのはもちろん、明らかに貴乃花サイド、なかには親方本人をネタ元にしているとしか思えない一方的すぎるリーク報道を展開してきたからだ。
それは、日馬富士の暴行事件が発覚した直後から始まった。「文春」は11月23日発売号で「キーマンは白鵬…これが密かに漏らした核心だ!貴乃花の逆襲」と題し、トップ特集。暴行事件の背後に白鵬をはじめとするモンゴル力士たちの八百長問題、暴行事件は白鵬が仕組んだもの、などと報じ、その後のマスコミの白鵬バッシングの流れをつくりだしたのだが、この記事で「貴乃花の「肉声」を知る極めて近い関係者」だった。
その後も同様だ。11月30日発売号の「貴乃花が激怒した白鵬の「暗黒面」」「モンゴル力士が貪る怪しい利権」。12月7日発売号の「「モンゴルの闇に迫る!」貴乃花vs.白鵬「八百長の真実」、12月14日発売号「貴乃花が許せない相撲協会“三悪人”八角理事長、尾車親方、白鵬」「白鵬を勘違いさせた華麗なる人脈」「白鵬に群がる“怪しいタニマチ”」、これらは、記事を読むだけで、貴乃花サイドからの情報で書いているのが丸分かりだった。
しかも、この露骨さは貴乃花の処分問題が浮上すると、さらにエスカレート。12月21日発売号「貴乃花vs.白鵬・相撲協会 本誌しか書けない全真相 最終決戦へ」が象徴的なように、ターゲットが相撲協会へと向けられていく。
そして、貴乃花親方と文春の関係が決定的に明らかになったのは、処分が決まる臨時理事会当日の12月28日発売号(年末年始合併号)だった。文春はトップ特集で、「貴乃花激白『相撲協会は私の処分をしたいのならすればいい』」なるタイトルの貴乃花の告白記事を掲載したのだ。