その重鎮とは、『M-1グランプリ』(テレビ朝日)や『THE MANZAI』など、多くの漫才コンテストで審査員を務めているオール阪神・巨人のオール巨人だ。
オール巨人は、「週刊プレイボーイ」(集英社)2018年2月12日号掲載の連載コラム「オール巨人の劇場漫才師の流儀」のなかで、ウーマンラッシュアワーの政治風刺漫才を〈ネタとしても完成度が高かった〉と評価している。
〈だいぶ話題になったのでご存じの方も多いと思いますが、原発などの社会問題に触れてたあのネタ、劇場などで何回か見ているんですが、僕はいいんじゃないかと思ってます。ネタとしても完成度が高かったし、沖縄や福井の人がいやな思いをしたというのならともかく、基本的には弱者の立場に立って政治を皮肉るスタンスですから。本人も福井出身だし、言ってみれば自虐ネタです〉
〈これが、誰かを立ち直れないほど傷つけたらそれはNGでしょうが、僕はあのネタが漫才のルールを逸脱しているとは思いません〉
ここでオール巨人が用いている評価軸は、「「漫才に政治をもち込むな」のタブーを突き崩した!」というスキャンダラスなものではない。単純に〈ネタとしても完成度が高かった〉という普遍的なものさしである。
それは、政治風刺というジャンルに笑芸としての可能性があるということの証左であり、このウーマンラッシュアワーの漫才がセンセーショナルな一過性のブームとして消費されてしまうものではないということを意味している。
そうであれば、ウーマンラッシュアワーにはこれからも政治風刺ネタをつくり続けてもらいたいのだが、そんななか、村本大輔による少し気になる発言が話題となっている。
「アメリカに行きます。もう。2年後ぐらいにアメリカに行って。(アメリカで)舞台に立つっていう」
「(ウーマンラッシュアワーは)解散します。スタンダップコメディやりたいんですよ」