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ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第6号 

ブラックすぎるパチンコ店! 日常的にグーで殴られ、カウンター業務の最中にセクハラ…あげく突然の理不尽解雇

 その中には、数十項目にもわたる解雇理由が長々と書かれていた。中には、全く心当たりのない事実も書かれていた。これでは自分が解雇された理由が良く分からないと考えた彼女は、A店長に対し、最も重視された解雇理由は何なのかと尋ねた。

 これに対し、A店長は、「目押し(筆者注:回転するリールの特定の絵柄を有効ラインに狙い撃ちすること)が出来ないことだ」と、冷たく言い放った。

 私は衝撃を受けた。パチプロよろしく、スロットの目押しができないことには、パチンコ店のホール業務やカウンターでの景品交換業務もままならないのか……と。この話を聞きながら、私は昔、当時大いに流行していたポケ〇ンの中で出てくるスロットの目をうまく合わせられず、ゲーム友達から馬鹿にされ、対戦に入れてもらえなくなってしまったという悲しい記憶を思い起こしていた。このパチンコ店は、本当は小学校なのではないかと訝しみ、私も現場を確認したが、小学校などではなく、きちんとした(?)パチンコ店であった。寒風吹きすさぶ中、パチンコ店のきらびやかな照明を見つめながら、私は、ブラック企業に勤めながら給料をもらって生活するというのは、かくも大変なことなのだと実感し、身が震える思いを味わった。

 私は、パチプロの技術がなければパチンコ店で働いてはダメだという理屈はさすがにおかしい上、彼女がA店長から受けてきた被害の数々は救済されるべきだと思い、裁判所に労働審判を申し立てた。申立てをした1週間後、専務はA店長を伴って私の事務所に急ぎ駆けつけ、話し合いによる解決を求めてきた。

 何度か協議が行われたが、会社としては、この種の事件としては異例の水準の金額を支払って事を収めたいとのことであった。そうであれば彼女も納得するということで、本件は労働審判期日前に異例のスピード解決を見ることとなった(会社は解雇を撤回し、会社都合にて円満退職をする代わりに、解決金を支払うという内容で和解)。

 本件は裁判外で和解にて終了したため、会社名を公表することはできないが、今も存在する会社である。本件をきっかけに、会社が管理職を適切に管理する体制を作ってくれればと強く願う次第である。

【関連条文】
労働契約明示義務 労働基準法15条1項
解雇 労働契約法16条
セクハラ 男女雇用機会均等法11条
殴る 刑法204条

(笠置裕亮/横浜法律事務所https://yokohamalawoffice.com

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■ブラック企業被害対策弁護団
http://black-taisaku-bengodan.jp

長時間労働、残業代不払い、パワハラなど違法行為で、労働者を苦しめるブラック企業。ブラック企業被害対策弁護団(通称ブラ弁)は、こうしたブラック企業による被害者を救済し、ブラック企業により働く者が遣い潰されることのない社会を目指し、ブラック企業の被害調査、対応策の研究、問題提起、被害者の法的権利実現に取り組んでいる。
この連載は、ブラック企業被害対策弁護団に所属する全国の弁護士が交代で執筆します。

最終更新:2018.07.03 11:07

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