最近も、こうしたケースは続いている。たとえば、タレントのローラは10年契約、さらに10年後も事務所の承諾がないと契約更新を断れず自動的に更新されるという半永久的奴隷契約を結ばされていたことが発覚。ローラがこれを不当として独立を強行したところ、訴訟をちらつかせ、テレビにほとんど出演できなくなってしまった。
また、昨年4月には、元NMB48の渡辺美優紀の出演するインターネット生放送番組が直前になって放送中止になる騒動もあった。グループ卒業と同時に吉本も退社したメンバーには2年間待たなければ芸能活動をすることができない「2年縛り」があるとされており、渡辺美優紀の番組の放送中止はこの縛りを理由にクレームを受けたからなのではないかといわれている。
今回の公取委の結論により、こうした芸能界の「ブラック体質」にもようやく改善されていくのだろうか。そして、ローラやのんもテレビに復帰できるのか。
しかし、その一方で、別の問題も指摘されている。
たとえ法的に認められなくなったところで、プロダクションやテレビ局などが「忖度」し合って事務所を抜けたタレントの仕事を干し上げるような状況が変わらなければ、結局のところ現状のままなのではないかという心配だ。
そのような懸念が出るのには理由がある。
昨年7月に公取委が調査検討に入ったニュースを取り上げたメディアはNHKと朝日新聞だけで、他はほとんど取り上げていないのだ。とくに民放は、このニュースを一秒も報じていない。民放のワイドショースタッフが苦笑しながら語る。
「それはそうでしょう。テレビはこういう芸能プロの圧力、嫌がらせの共犯者のようなものなんですから。報道なんてできるはずがない。うちの番組では、最初から企画にもなっていません」
こういった事情がある以上、先にあげたような懸念が現実となる可能性もおおいに考えられる。
いずれにせよ、今回の公取委の方針は大きな前進ではある。
ただ、これを本当の意味での労働環境是正の足がかりにできるかどうかは、これからにかかっている。その動向をしばらくチェックする必要がありそうだ。
(編集部)
最終更新:2018.01.20 12:17