歴史修正主義と戦う言論は徹底して潰されてしまうのが安倍政権下の日本。
だが、そうして国内は封殺できても、国際社会までは騙すことはできない。たとえばフランスのル・モンド紙は、選挙直後の10月20日の電子版に「安倍晋三、受け継がれし歴史修正主義」と題した特集記事を掲載、こう喝破した。
〈安倍氏は歴史修正主義者(révisionniste)である。たとえば、彼の礼賛する憲法改正は、日本の帝国主義の復興を目指し、1930年代初頭から第二次世界大戦終戦までの日本軍が犯した残虐行為の数々を過小評価ないしは否定しようとする広大な企てのなかの一つだ〉
ル・モンドが言うように、安倍首相はまごうことなき歴史修正主義者であり、その欲望は、確実に日本を戦争へと近づけていく。2018年は、改憲への動きと連動して、歴史修正主義もさらなる加速を見せるだろう。
歴史修正主義は基本的に内向きの性質を持つが、決して過去のみを標的にしているわけではない。ましてや、単なる学問上の対立ではありえない。実態は、過去を歪曲することで現在を都合よく解釈し直そうとする企み、そのいく末は、安部政権が喧伝する“輝いていた在りし日の日本”ではなく、正真正銘の“戦争ができる国”なのである。
●明治礼賛の国策映画、明治150年事業…安倍政権による明治日本=大日本帝国礼賛ムーブメント
安倍首相が日本軍の戦争犯罪を否定する一方で推し進めるのが、明治時代の礼賛だ。昨年10月、安倍政権は2018年に明治維新150年の記念事業を実施することを発表。今年7月の中間とりまとめでは、「明治150年」関連施策として実に100を超える事業がラインナップされた。スポーツ庁からの求めで、来年秋に開催される福井国体に「明治150年」という冠称をつけようという動きが出ているのも、その明治礼賛=大日本帝国の美化政策の一環だろう。
ほかにも150年記念事業として、明治期の国づくりなどを題材とした映画やテレビ番組の制作を政府が支援することを検討していると報じられた。完全に、ナチスを彷彿とさせる“国策プロパガンダ映画”事業である。大日本帝国の植民地主義を正当化、アピールしようという意図があるのは明らかだ。
実際、安倍政権は、この明治日本=大日本帝国への憧憬を隠さず、ことあるごとに、明治日本=大日本帝国の正当化を喧伝してきた。
たとえば、2015年7月「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録へのゴリ押しに安倍政権の強い意向があったことが明らかになっている。また安倍首相は戦後70年談話のなかでも、明治日本の植民地主義を正当化し日露戦争を良い戦争だったと語った。さらに安倍政権や極右団体・日本会議による「明治の日」復活の動きもある。
さらに安倍首相は来年の年頭所感でも、明治150年を打ち出しているという話もある。2018年、安倍政権による明治礼賛=大日本帝国美化という歴史修正主義ムーブメントに、これまで以上に要注意だ。
(編集部)
最終更新:2017.12.30 08:43