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年末特別企画 リテラの2017年振り返り

来年も安倍政権は明治=大日本帝国美化に邁進!慰安婦像に逆ギレ、アパホテル炎上、高須ナチ礼賛…2017歴史修正事件簿

 6月には、米アトランタ日本総領事・篠塚隆氏が、「慰安婦は売春婦だった」という趣旨の発言をして、国際的に大問題となった。発端は、米ジョージア州の地方紙のインタビュー。同州ブルックヘブン市内の公園での設置を同市議会が決定したことに関して〈篠塚総領事は慰安婦の女性らは金で雇われた売春婦だったと言った〉(23日付電子版)などと地の文で伝えた。
 この「金で雇われた売春婦だった」という発言は、国際的に大きな問題となった。しかし、日本国内メディアは対照的に沈黙。ほぼ唯一、東京新聞の名物特報欄「こちら特報部」が問題の経緯と事実を詳細に伝える報道をした。記事によれば、実際に録音テープのなかでは、篠塚氏は英語でこのように発言していた。
「歴史的事実として、女性は性奴隷ではなく、強制されていない。アジアの文化として、いくつかの国々で、家族を養うためにこの仕事を選ぶ女の子がいる」
「ブルックヘブン市での慰安婦像は多くの論争を巻き起こす政治的なツール。日本に対する憎悪と憤りの象徴でもある」(「こちら特報部」訳)
 一目瞭然、批判されて当然の発言である。しかし、安倍政権は少女像設置に対して一時引き上げの対応を批判したとされる釜山総領事は更迭したにもかかわらず、篠塚総領事にはなんのお咎めもなしだった。

●灘中学など全国私学への教科書採択に対する右派の組織的圧力が発覚

 夏頃には、中学・高校での歴史教科書をめぐる、歴史修正主義者からの圧力問題が話題を呼んだ。発端は、受験最難関クラスである私立灘中学校・灘高等学校の校長が2016年に発表した手記。灘校長の手記には、「学び舎」という出版社がつくる歴史教科書の採択をめぐり、右派勢力が学校のOBを名乗るなどして「反日極左の教科書」「採択を即刻中止にすることを望みます」などという“抗議ハガキ”が大量に送りつけるという、組織的な“圧力”があったことが明かされていた。灘校長によれば自民党の県議や国会議員からも「なぜあの教科書を採用したのか」と詰問を受けたという。
 この圧力問題は、灘中学だけでなく、全国の有名私学で行われていた。この問題を調査報道したNHKの『クローズアップ現代+』(9月6日放送)では、学校へのアンケートの結果が紹介され、「多様な思考力を育む教育を否定する動きに恐ろしさと悲しさを感じた」(東京の私立)、「全体像が分からないことに得体のしれぬものを感じる。学校現場が萎縮しないことを切に願う」(埼玉の私立)など、自由な教育の抑制を懸念する声が報じられた。
 本サイトでも追及したように、こうした運動の背景には、日本最大の右派組織「日本会議」や、首相のブレーンのひとりである八木秀次氏が率いる「日本教育再生機構」の影が見え隠れする。実際、『クロ現』では抗議ハガキの送り主のひとりとして自民党所属の広島県議にインタビューしているのだが、この県議は、日本会議広島が主催する講演会や日本会議と深く関わる地方議員だ。
 安倍首相と日本会議や日本教育再生機構の緊密な関係についてはいまさら言うまでもないが、歴史修正の運動は教育現場の侵食から始まるのである。今後も注視していかねばならない。

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