「日本人はアメリカのフェイクニュースの犠牲者だと言っても過言ではないですよ。なぜなら日本のメディアはアメリカの主流メディアと関係しているわけで、私たちはそれとは違うオルタナティブなニュースを聞くことができないのです。バノンさんはブライトバートをおもちですね。私はこう提案したい。ブライトバートのアジア支局を開いてはどうでしょう、ここ東京に! ぜひ日本語でニュースを出してください」
木村は、CNNをはじめとするトランプ政権に批判的メディアのことをフェイクニュースと呼び、デマと差別まみれの「ブライトバート」の日本版を立ち上げてくれ!と呼びかけたのである。
これに対し、バノン氏も「ぜひ日本でブライトバートの事業を始めたい」とまんざらでもない様子で、会場は拍手喝采。まったくクラクラしてくるではないか。“第2のテキサス親父”か“第2のケント・ギルバート”でも狙うのか。
いや、それどころではない。バノン氏のブライトバートは、テキサス親父とかケント・ギルバート氏のような“ネトウヨ向け極右外国人ビジネス”とはスケールが全然違う。ブライトバートは、前述のように政敵を貶めるフェイクニュースを発信しているほか、イスラムヘイトや女性・LGBTに対する差別を扇動するなど、極めて悪質。しかも、それをSNSなどで拡散させる技術も持っている。日本にブライトバートが上陸すれば、野党へのデマ攻撃だけでなく、マイノリティへのヘイトスピーチがこれまで以上に濫造されてしまうのは目に見えている。
いずれにしても、こうして安倍首相を「トランプ以前のトランプ」と絶賛し、ブライトバートの日本支局設立に色気をみせたバノン氏の発言は、日本にとって極めて大きな危機感を抱くべきものだ。しかし、このJ-CPACでの発言や日本の極右界隈とのやり取りをちゃんと報じたのは、英字新聞のJapan Timesぐらいで、国内テレビ局や新聞はスルー状態。こんなことでは、右派による卑劣なデマ攻撃を座して待つだけだ。
ただでさえ、読売新聞や産経新聞、NHKは“政権の御用メディア”になっており、朝日新聞や民放も“中立病”と呼ぶべき両論併記の腰砕けが目立つ。安倍応援団の極右界隈が、アメリカのフェイクニュース事業のノウハウを習得して勢いづいてしまえば、日本の民主主義は死に体になってしまうだろう。国内マスコミは自覚するべきだ。
(編集部)
最終更新:2017.12.22 12:33