たとえば、先述した“3メートルより下からゴミが出てくるストーリーをイメージしている”と国側の職員が述べたあと、つづけて「三メートル以下からごみが噴出しているという写真などがもし残ってたら」と語っている。これをもって太田理財局長は「新たな埋設物の資料提供をお願いしている」と答弁したのだろうが、このあとすぐに工事関係者は以下のように反論している。
「ちょっと待ってください。そこは語弊があるので。三メートル下から出てきたかどうかは分からない。下から出てきたとは確定、断言できてない。そこにはちょっと大きな差がある。認識をそういうふうに統一した方がいいのであれば合わせる。でもその下から出てきたかどうかは、工事した側の方から、確定した情報としては伝えるのは無理」
このように、国側が資料提供を求めたあと、工事関係者は明確に「確定、断言できない」「確定した情報として伝えるのは無理」と反論しているのである。
しかし、国側は引き下がらなかった。この工事関係者の反論を受けて、国側の職員はこう語っている。
「●●さん(工事業者)からそういう話は聞いている。●●さん(設計業者)からもそういうふうに聞いている。どこの層から出てきたか特定したいのでこういう聞き方をしてきた。●●さん(設計業者)もどこから出てきたか、判然としないという話で今までは聞いている。ただ今後、資料を調整する中でどういう整理をするのがいいのか協議させていただけるなら、そういう方向で話し合いをさせていただければありがたい」
つまり、国側の職員は、工事関係者からも設計業者からも「3メートルより下のゴミは確定できない」と説明されてきたことを踏まえて、それでもなお、3メートルより下からゴミが出てきたというストーリーにこだわり、「そういう方向で話し合いを」と求めていたのである。東京新聞は、この一連の会話を中略していない。ようするに、どう考えても、太田理財局長が主張した「新たな埋設物の資料提供をお願いしている」会話などではないのだ。
それはその後の会話もそうだ。以下に「カット」せずに東京新聞に掲載された会話を引用しよう。
〈弁護士「そちら(国)側から頼まれてこちらが虚偽の報告をして、後で手のひら返されて『だまされた』と言われたら目も当てられない」
工事業者「三メートル下より三メートルの上からの方がたくさん出てきてるので、三メートル下からはそんなにたくさんは出てきていないんじゃないかな」
国側の職員「言い方としては混在と。九メートルまでの範囲で」
工事業者「九メートルというのはちょっと分からない。そこまでの下は」
弁護士「そこは言葉遊びかもしれないが、九メートルの所までガラが入っている可能性を否定できるかと言われたら否定できない。そういう話だ」
工事業者「その辺をうまくコントロールしてもらえるなら、われわれは資料を提供させてもらう」
国側の職員「虚偽にならないように、混在していると。ある程度、三メートル超もあると。全部じゃない、ということ」
工事業者「あると思う」
国側の職員「そんなところにポイントを絞りたい」〉