「俊氏はNTTの分割を主導した人物ですが、そのときに協力関係を築いたのが、NTT出身の総務族議員で現在の経済産業大臣の世耕弘成氏だった。また、安倍政権最大の実力者である菅義偉官房長官のおぼえもめでたく、菅氏が総務大臣のときに総合通信基盤局長電気通信事業部長から総括審議官に引き立てられています」(総務省関係者)
電波オークションはもともと民主党政権が規制緩和の一環として導入を検討したもの。このとき桜井氏は「電波オークション法案」を自民党総務族と一緒になって反対し、総合通信基盤局局長から情報通信国際戦略局長という“横滑り人事”でラインから外された。
ところが自民党が政権に返り咲き、第二次安倍政権が発足すると、菅官房長官の肝いりで一気にナンバー2である審議官に抜擢。桜井氏が事務次官に就任したのは2015年だが、これもじつは前年に就任予定だったところを菅官房長官の判断で延期。この理由について、前出の総務省関係者は「安保法制や原発再稼働で一番難しい2015年に、桜井氏を次官に据えて、報道ににらみを利かせたいという菅さんの判断だった」と話す。
ようするに、電通の今回の人事は、電波オークション導入で参入を目論む企業のビジネスモデルを構築するという新たな事業に向け、電波行政に顔が利く桜井氏を抜擢。同時に、安倍政権のパイプ役としても白羽の矢を立てたのではないかと考えられているのだ。