パパが電通に天下った櫻井翔。タブーも最強に!?
広告代理店最大手の電通が、来年1月1日付けで桜井俊・元総務省事務次官を執行役員に迎えることを発表した。ご存じの通り、桜井氏は人気アイドルグループ・嵐の櫻井翔の父。昨年6月、事務次官からの退官が決まると自民党から都知事選への出馬を要請されたが固辞し、同年9月に三井住友信託銀行の顧問に就任していた。つまりワンクッション置いた上での、総務省元事務方トップによる事実上の“天下り”である。
しかも、今回の人事で電通は、桜井氏を労働基準法を遵守するための仕組みづくりのために抜擢したと公表。過労自殺した高橋まつりさんの事件で電通の労働基準法違反の実態が露呈したが、それを踏まえたガバナンス強化のための人事だと言うのである。
しかし、これはあきらかにおかしい。桜井氏は総務省で総合通信基盤局や情報通信国際戦略局で腕を振るい、地デジ化を指揮するなどテレビ事業にダイレクトに関連する電波・通信事業畑を歩んできた官僚だ。にもかかわらず、労務のために抜擢したというのは違和感しかない。
むしろ、桜井氏の電通への天下りは、安倍政権が導入を睨んでいる「電波オークション」への対策にあるのではないかと見られている。
電波オークションとは電波の利用権を競争入札にかける制度で、安倍首相は今年6月に閣議決定した「規制改革実施計画」のなかで電波オークションを検討事項に挙げ、9月には「ダイナミックな電波の利活用が可能となるよう割当制度の改革は待ったなしだ」と主張。11月29日におこなわれた規制改革推進会議では、電波オークションについては「検討継続」となったが、答申には現行の制度に「価格競争」の要素を取り入れる旨が加えられた。
一方、桜井氏は前述したように長年に渡って電波行政を担当し、規制緩和の改革を進めてきた人物。そして、安倍政権とも関係が深いことでも知られる。