〈本日二度目のチーフプロデューサー、プロデューサー原発班をいれてのプレビュー(著者注:放送前視聴)が行われました。そこで日本テレビ報道局の総意として以下の業務命令が出ました。
「今回放送の番組の中の小泉氏の登場シーンは全てカット」というものです。(中略)8日放送(著者注:9日未明放送)ギリギリで小池氏が政権交代を目指し衆院選立候補になったりした場合、脱原発で小泉氏が小池氏を応援コメントなどをする可能性が高く、そうなった場合、対応不可となる場合があるからとの説明でした。
放送法では『告示期間中』に限定されているのですが、小池=小泉は影響が大きすぎて期間直前でもだめだという局の判断との事。結局、日テレ報道の魂は『AB(著者注:安倍政権)に忖度』という事なのです〉
小泉元首相の登場シーンがすべてカットされた理由も、次のように列挙されていた。
〈■選挙が目前である事
■選挙期間中は出馬する人、選挙に影響する人を一方的にOAしないという放送法の決まり事がある事
■希望の党が脱原発を公約、選挙の争点にした事
■希望の党設立の会見後に小池・小泉が会って協力を臭わせた事
■さらに政権政党奪取のために都知事を辞して小池氏が衆院選に出る可能性が出てきている事
■それが放送ギリギリにわかって、小泉氏が応援する事にでもなると放送直前の直しが間に合わなくなり、放送に穴が空くから
との理由からです。守りきれませんでした。申し訳ありません〉
安倍政権に異常なまでの配慮をした日本テレビの姿勢が浮き彫りになるようだ。選挙中の公平報道原則を拡大解釈することによって、被曝兵士救済に動こうとしなかった安倍政権の冷たい姿勢(職務怠慢)と、「政府が動かないのなら民間が動いて支援する」という小泉元首相の思いを隠蔽したのだ。
メールに列挙された理由も根拠薄弱としか言いようがない。小泉元首相は「原発ゼロ社会実現」やトモダチ作戦被曝兵士の実情を訴える全国講演行脚を続けていたが、そのときの囲み取材や会見で「選挙で特定の政党や候補者を応援をすることはしない」と繰り返し述べていた。25日の小池都知事との面談後も、選挙応援を否定したのはこのためで、「(小池氏を)小泉氏が応援すること」は起こりえない事態だった。妄想的想定を根拠の一つにして日テレは、被曝兵士救済に動かなかった事実(安倍政権の職務怠慢)を隠蔽したといえるのだ。