一見、過激で極端なパフォーマンスばかりしているように誤解されている山本だが、実はかなりシビアに現実を見つめ、そのうえで少しでも今の酷い状況を変えるために何ができるか、その戦略を必死で考えていることがよくわかるだろう。
それは、民進党が希望の党に合流し、リベラル勢力が一気になくなってしまった問題でも同じだ。山本は選挙公示後の演説で、こんなことを語っていた。
〈この国は変えられる。どうやって? 選挙で。年収100億円の人も、ワーキングプアの人も、1つだけ平等です。同じ一票があります。10月22日に投票です。それぞれ皆さんに深く考えていただいた上で、お誘い合わせの上、投票に行って欲しい。
立憲民主党、共産党、社民党、非常に魅力的で素晴らしい仕事をされている皆さんです。もっと注目して頂きたい。それに加えて、無所属で出ている候補者にも注目をしてほしい。私は今回、こういった方々の応援に全国廻ります。
一方で、小池さんの希望の党は、安倍自民党と、中身はほぼかわりません。
今から言うことは矛盾しているように感じるかも知れませんが、皆さんにも考えて頂きたいんです。民進党の衆議院全員が希望の党に行けるはずだった、けど半分が選別、排除された。辺野古新基地、改憲、安保法に賛成しろ、と言う踏み絵をふまされたからです。
その瞬間、自分を殺して踏み絵を踏んだ、本当は心ある議員も希望の党にはいるはずです。踏み絵は踏まない、そう判断して無所属から出た人は選挙が強い人、勝算がある人でしょう。踏まずに立候補すれば、刺客を立てられ、結果落選する。小池新党で党首の言いなりになる新人などが当選してしまえば、それこそ地獄、今後党内でのブレーキにも、党を割るメンバーにもなり得ません。今回、踏み絵は踏んだが、ひっくり返してやると、心に決めている人もいるはずです。
何が言いたいか? あなたの選挙区の候補者がどのような仕事をしてきたのか? しっかりとチェックして下さい。できることなら、直接本人と話して下さい。
好きなスポーツチームやアイドルグループを応援することとは当然違います。グループとして最悪だから選択肢からまず外す、のではなく、その中で、今後、そのグループの中でブレーキを掛ける、割る心意気がある人なのか、ということを今までの仕事を含めてチェックして慎重に誰に投票するかを検討してほしいのです。全ての候補者をあなたのリストから外す前に必ずチェックして頂きたいのです。本当の意味で、戦略的投票が求められている選挙です。
そして何より、今後、党や団体からの応援がなくても、市民の力で国政に自分たちの代理人を送りこめるだけの票を市民側が握っている、ということが可視化できれば、今回のような選別・排除などがまた行われても、候補者は正々堂々と無所属でも立候補できるでしょう。〉
「一回の選挙では変えられなくても、くじけない」「根気づよく、ステップ・バイ・ステップで拡げていく」と語る山本。目の前の選挙もあきらめない。でも、その先の改憲、国民投票も見すえて、何人仲間を増やせるか。山本太郎の新しい戦いは、もう始まっている。
(取材/編集部)
※文中に出てくる山本氏が制作した小冊子「今さら聞けない!憲法ってナニ? その1」は、次のURLでも読むことができます(外部リンク:http://www.taro-yamamoto.jp/daily-activities/7463)。
最終更新:2017.10.14 11:37