この日の放送で、トランプの発言が二転三転したことが問題視されると、玉川氏はそれが問題ではないと否定。「発言から差別主義の本音が出ている」ところが反発されたとして、トランプが配慮した「固い支持層」について「オルト・ライト」(=オルタナ右翼)と呼ばれる極右を念頭に、“真性の保守ではなくネット右翼的なものが混ざっている”と指摘した。
「まさに日本のネット右翼も(オルト・ライトと)同じような傾向があるわけですよ。排外主義だったり、『取り戻す』っていう表現、これも大好きですよね。だから本当に僕はこれ、共通性を感じるんですよね」
そして、トランプが会見で「オルト・ライトに抗議した“オルト・レフト”(=オルタナ左翼)はどうなんだ? 一方に悪いグループがいて、もう一方にとても暴力的なグループがいる」と述べたことなどをめぐって、こう当を得た批判をしたのである。
「同じ論理なんですよ、日本も。たとえば、この前の都議選の時に『こんな人たち』っていうふうに言ったら、あそこでデモ活動をしていたのは『左翼だ!』っていうふうな話になったじゃないですか。そういうネット右翼の人たちは、自分の考えに沿わない人はみんな『左翼』っていうふうにレッテルを張るんですね。これはもう、いわゆるネット右翼と同じような発想をするんだなトランプ大統領は、って思ったんです」
たしかにそのとおりだ。日本でも、反差別や政権批判の動きが起きると、安倍首相もそしてネトウヨなどの安倍応援団も必ず、その動きに「左翼」「過激派」などレッテル貼りをして、「暴力行為を許していいのか」などという攻撃を繰り返してきた。その姿はまさにトランプそっくりといっていいだろう。
しかも、問題なのは、こうした攻撃に、本来は徹底的に「反差別」「権力チェック」の立場に立たなければならないメディアまでが引きずられ、両論併記か口をつぐんでしまうか、どちらかしかできなくなっていることだ。
今回のトランプ問題にしてもそうだ。有本氏にトンデモ論を語らせた『バイキング』は論外としても、他ワイドショーにしてもコメンテーターに「対岸の火事」的な解説を語らせるだけの番組がほとんどで、日本にも存在している同様の差別構造やバックラッシュと向き合う報道は皆無だった。
そう考えると、今回のトランプ発言は改めて日本の言論の脆弱性を浮き彫りにしたと言えるだろう。
(編集部)
最終更新:2017.12.07 04:45