ところが「取材・報道の自由」や「国民の知る権利」への意識が欠如したネトウヨたちは、こうした当たり前のことを無視。「総理大臣のプライバシー」なるものをわめきたて、弱い立場の焼肉店に襲いかかった。前述した「プライバシー侵害だ」という的外れな攻撃はもちろん、「反日焼肉屋だ」などというレッテル貼り攻撃まで仕掛けている。
さらには、レビューサイトでの「星1」の連投。言っておくが、こうしたグルメサイトの点数評価は、あくまでその店で飲食をしたユーザーによる料理の味、コストパフォーマンス、接客の満足度などの判定だ。それを安倍首相の批判報道をつぶしたいという政治目的でわざと低い点数をつけるのは、営業妨害以外の何ものでもない。
ようするに、連中は「客のプライバシー」などともっともらしい理由をつけているが、こんなものはただの八つ当たりにすぎない。
安倍政権の止まらない不正発覚と支持率低下に苛立ち、それに対抗するため、「マスコミの報道はすべて嘘だ」などとマスコミ攻撃を仕掛けても、全く相手にされない。そのイライラを立場の弱い焼肉店にぶつけて、憂さ晴らしをしているだけなのだ。
しかし、恐ろしいのは、この焼肉店の炎上事件に対し、メディア側で、これを仕掛けたネトウヨたちの不当性を指摘したり、証言者である店側を擁護する動きが、一切見られないことだ。
言っておくが、メディアの報道というのは、大なり小なり、なんらかの個人情報やプライバシーに踏み込むものである。だが、これが社会の正当な関心ごとたりうる場合には、積極的に認められなければならない。とりわけ、政治権力に対してそれが許されなければ、私たちの生活に関わる情報のすべてはお上の垂れ流すプレスリリースだけとなり、国民の思想信条の自由や知る権利は限りなく縮小されてしまう。
無論、一般市民に対しては、興味本位のみだりな個人情報の暴露は報道の自由たりえないだろう。ただし何度でも繰り返すが、絶大な力をもっている政治家や、社会に対する影響力の強い芸能人や文化人などの公人に対しては、公益ならびに社会の正当な関心ごととして、メディアにはこれを伝える責務があり、同時に証言者を守る義務がある。そのことをゆめゆめ忘れてはいけない。
(編集部)
最終更新:2017.08.08 09:09