公取委は、こうした移籍トラブルをひとつひとつ調査をするのはもちろん、そのベースになっている芸能界の統一契約書についても踏み込むのではないかと言われている。
この統一契約書は“芸能界のドン”バーニングプロが牛耳る団体・日本音楽事業者協会(音事協)が作成、多くの芸能事務所がタレントとの契約に使っているものだが、その内容は、事務所とタレントが「独立対等」の関係にあるとしながら、事務所の承諾なしに独立や移籍ができないとするなど、非常にタレント不利になっているものだ。これが改善されれば、たしかに状況は大きく変わるだろう。
公正取引委員会をはじめとしたこのような動きがようやく出たことで、芸能界の「ブラック体質」にも、ようやく解決の糸口が見えたのだろうか。
ただ、こうした旧態依然とした業界の体質にメスが入るのは大歓迎だが、しかし一方で、気になるのは、この問題に対するメディアの姿勢だ。
実はこのニュースを取り上げたテレビは前述したNHKと朝日新聞だけで、他のメディアはほとんど取り上げていないのだ。とくに民放は、このニュースを一秒も報じていない。民放のワイドショースタッフが苦笑しながら語る。
「それはそうでしょう。テレビはこういう芸能プロの圧力、嫌がらせの共犯者のようなものなんですから。報道なんてできるはずがない。うちの番組では、最初から企画にもなっていません」
また、公取委への圧力も気になるところだ。というのも、各芸能事務所は安倍政権や自民党の政治家に太いパイプを持っており、公取委に取り上げさせないよう圧力をかけていくのは明白だからだ(一部ではすでにその動きも出ているようだ)。
このブラックな芸能界のタレント支配を公取委がきちんと調査し、改善させていく事ができるのか。その動向をしばらくチェックする必要がありそうだ。
(編集部)
最終更新:2017.12.05 08:00