なんと、こんなコメントと共に、突如新曲「キョウボウザイ」をYouTube上にアップしたのだ。
〈新曲ビート打ってラップしました。Trap系のビートいくつか作ってるトライアル中。主張に関しては曲の通り…否定とか肯定も無くはないけど、それ以前に可決へのプロセスがあんまりすぎてDAMN.〉
「Trap」というのは、アメリカのヒップホップシーンではもはやすっかり定着したラップの一ジャンルのこと。ここ数年は日本でも広がりを見せていて、宇多田ヒカルの最新アルバム『Fantôme』に収録された楽曲「忘却」でフィーチャリングされているKOHHなどがその代表的なアーティストとして知られている。
SKY-HIによるその新曲「キョウボウザイ」はこのようなことが歌われていた。ちなみに、「Morning」や「国会」など、括弧で囲った部分は合いの手の言葉だ(合いの手を入れるのは最近のヒップホップのトレンドでもある)。
〈木曜日 朝4時(Morning)
国民的行事(国会)
色を変えた常識
説明ならば放棄
何らかの事情に
何らかの理想に
良い悪いの定規
それで作るなんてホント正気?(DAMN.)〉
本人がコメントで〈可決へのプロセスがあんまりすぎて〉と語っている通り、楽曲冒頭では法案の採決にいたるまでの過程を批判。共謀罪をめぐる国会運営で改めて浮き彫りとなった安倍政権の強権的な姿勢に異議申し立てをしている。そして、この後、ラップはさらに具体的なトピックに踏み込んでいくのであった。
〈燃えた家計簿に(加計)
火消しをするように
木で隠した森(Friend)
丸出しでソーリー
シンゾウには毛が生えて
舌の数は無尽蔵
HP残り36ポイント(支持率)
保護するのは秘密の方で
テロと五輪 歪なコーデ
組み合わせて出来た
それで治安維持しようぜ〉
「“心臓”と“晋三”」や「“Sorry”と“総理”」などダブルミーニングのオンパレードで、森友学園のことを「木で隠した森(Friend)」と表現するなど、ヒップホップらしい言葉遊びに溢れている。
スキャンダルの火消しのための強行採決であったこと、安倍首相の答弁は嘘に嘘を塗り重ねていること、テロや五輪など後付けの理由が次々と付け加えられ何のための法律なのかさっぱりわからなくなっていったことなど、ここでラップされている主張はすべてその通りで、まさに「痛快」と言う他ない。
そして、1分40秒にわたる怒濤のラップで構成される「キョウボウザイ」は、最後、こんな言葉で締めくくられるのであった。
〈黙ってた方が良いか そうか
たまったもんじゃない〉