また、ケナタッチ氏は日本政府が国連人権理事会の理事国選挙の際、「特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現」を誓約したことに触れ、「日本が国内で、理事国選挙で述べたことと全く違う方向に振る舞っていることに深く失望します」と憂慮を表明。日本政府がケナタッチ氏を攻撃し、共謀罪法案を強行しようとしていることについてこう批判した。
「日本政府はこの法案を90日以内で採決しようとしています。私が本質的な問題について示した懸念に取り組まないための言い訳をしながらです。
「不都合な真実」を口にするのが特別報告者の責務です。
ある政府が事実を「不都合」と感じた場合、突如として特別報告者は国連の代表ではなくなり、あらゆる種類の侮辱が報告者に対して投げつけられます。
このような行動をとるのは日本政府だけではありません。しかし特に失望させられるのは、G7の一員であり人権理事会理事国である日本が、友好的で建設的な批判に耳を傾けることができないように見えることです」
ようするに、ケナタッチ氏は日本政府の対応は民主主義が成熟した国家としてはありえないものだと批判したのだ。
実際、ケナタッチ氏はただ一方的に、安倍政権を批判しているわけでなく、法案の公式英訳を確認したうえで書簡の内容が不正確であると証明されれば当該部分については撤回すると表明している。ところが日本政府は、ケナタッチ氏が求める法案の公式英訳の提出を拒否。国会でも「相手側から明確に求められているのだから、国連代表部が面会を求めて、正式な英訳を説明しにいくのが普通ではないか」と追及されてもひたすら「国会提出中の法案を逐次英訳することは政府として行なっていない」と繰り返している。
ケナタッチ氏にまともに法案の意図を説明しようとせずに、無根拠な攻撃とデマ解説でごまかしをはかる。たしかにこれは、民主主義国家のまともな政府のやることではないだろう。