安倍首相と政府の手段を選ばないやり方はあまりにグロテスクだが、問題は、大本営発表のまま伝えるメディアにもあることは言うまでもない。
たとえば、今回のG7サミットについて御用メディアは「安倍首相が各国首脳をリードしてまとめあげた!」と大々的に報道。産経新聞は、安倍首相をG7サミットの「陰の議長」と呼んで〈サミットの成否を左右する〉などと称揚した。
だが、これに輪を掛けて醜かったのが、日本テレビが28日に放送した『真相報道バンキシャ!』だ。同番組では「安倍首相が果たした役割」と題して、いかに安倍首相が暴れん坊のトランプ大統領をたしなめて成功に導いたかを、「安倍総理周辺の取材」に基づき、なんと再現ドラマまでつくって放送。コメンテーターの夏野剛氏も「安倍総理がトップであることで非常に有利な展開」「安倍総理がいなければ深刻だった」「日本にとっては100点満点」と誉めそやすなど、ただのプロパガンダに終始したのだ。
安倍首相はG7サミット閉会後の記者会見で「G7はもっとも大切な価値を共有しています」と言い、それは「自由、民主主義、人権、法の支配」だと明言。「そうした価値がかつてない挑戦を受けています」とし、北朝鮮を非難した。しかし、「自由、民主主義、人権、法の支配」これらすべてを潰そうとしているのは安倍首相本人ではないか。その典型が、前川前次官の証言ツブシの謀略だ。官邸は前川喜平・前文科事務次官の違法性も何もないスキャンダルをリーク。それを受けた読売新聞は全国紙としての矜持を簡単に捨てて、三流実話誌でも書かないような記事をデカデカと掲載した。
共謀罪が施行されれば、こうした事態は頻発するだろう。政権批判の動きに対して政府が警察を動かし「組織的犯罪集団」の認定をして取り締まる。そして読売や産経などの御用マスコミが権力のリークに乗っかって政権批判者スキャンダルを垂れ流す。そうやって、社会を萎縮させ、国民を沈黙させていく。
日本をこうした恐怖支配国家にしないためにも、共謀罪はなんとしてでも止める必要がある。
(編集部)
最終更新:2017.12.04 03:32