その後も、森友学園側から提出する必要のある要望書や貸付申請書についてや、財務省から送付される契約書類についての流れが書き出されており、〈着工後、森友学園が土壌汚染及び地下埋設物除去工事実施〉〈財務局・航空局により作業状況・撤去範囲等の現地確認〉といった工程が事細かに説明されている。
「大量のごみ」が見つかって森友学園側が土地の買い取りを申し出るのは2016年3月のことだが、この時点ですでに近畿財務局は地下埋設物などの撤去費用を国に求める手筈まで教えているのだ。
さらに、土地の定期借地契約で必要な利用状況報告の説明だけではなく、〈売買契約の締結〉といった項目まで用意し、森友学園が〈売買予約契約〉に基づいた〈買受けの意思表示〉を行うとレクチャーしている。
つまり、財務省近畿財務局は森友学園に対し、今後、どういった手続きや作業が必要かだけではなく、どうやったら、森友側が得をするかを親身になって説明しているのである。菅野氏の言葉を引用すれば、まさに〈この紙で近畿財務局は森友学園に「もっとも手早く土地を入手する方法」を手取り足取り教えているとしか思えない〉ものだ。
昭恵夫人付き職員だった谷査恵子氏のファクス文書が指し示していたのと同様に、いかに財務省が森友学園を特別扱いし、森友側の要望になるべく沿えるように慮ってきたかがよくわかるが、この文書には、もうひとつ、重要な意味がある。
それは、国有地管理の責任者である佐川宣寿・財務省理財局長の“嘘”が暴かれたことだ。
おさらいすると、森友学園に対する異例の「買い受け特約付きの定期借地契約」を承認した第123回国有財産近畿地方審議会が開かれたのが2015年2月10日だ。しかし、森友学園が大阪府に小学校設置認可を申請したのは、約3カ月前にあたる2014年10月31日で、大阪府私学審議会が小学校を条件付きで認可適当と認めたのが2015年1月27日だった。申請当時は借地の上に校舎を建てる計画であり、これ自体が大阪府の私立小中学校設置基準に反するのだが、この申請が認められた経緯について、村田善則・文科省高等教育局私学部長は国会で「森友学園より、今後購入することを念頭に置いた定期借地による国有地の借用を目指していると聞いていたこと等から、これを自己所有と同等とみなして認可適当の答申を行った」と答弁している。