小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

教育勅語復活させた安倍政権が中学教育に導入!「銃剣道」は戦中、本土決戦に備え強制された“竹槍訓練”だった 

 佐藤議員は、パブリックコメントの募集期間中であった3月9日の参院外交防衛委員会で、今回の新学習指導要領から「なぜか銃剣道一つだけが外された」と追及(しんぶん赤旗4月1日付)。自身のブログでも〈銃剣道は国体競技種目であり、自衛隊ではその入隊時、陸上自衛官や航空自衛官のほとんどが習い、部隊等に配置されてからもそのレベルアップに汗を流している武道です〉とゴリ押しし、義家文科学副大臣や高村正彦副総裁などへの働きかけに奔走していることを嬉々として報告していた。

 周知の通り、佐藤議員は自衛隊出身。当然、この案件は自衛隊マターと考えるのが妥当だ。つまり保険体育教科における銃剣道の追加には、事実上の指導員となる自衛隊関係者への利益還元の疑い、あるいは、銃剣道に親しみを持たせることで、志願者数減少に悩む自衛隊への勧誘につなげる狙いがあると勘ぐられても仕方がない。

 他方で、国は銃剣道の教科化以外にも、このマイナー競技を不自然なほどゴリ押ししている。先月8日、日本体育協会が理事会で2023年からの4年間の国体実施競技を決定したが、そこでは、これまで毎年行われていたボクシング競技を隔年実施に降格した一方、銃剣道を毎年実施に格上げした。ようするに、安倍政権はいま、国をあげて銃剣道を強引に推し進めているのだ。

 もちろん、戦後にGHQが武道を禁止したあと、民間が中心となって剣道や柔道を再生し、その流れのなかで銃剣道も「戦技色を排したスポーツ」として関係者が普及に務めたのも事実ではある。しかし、繰り返すが、文科省が「武道」を「伝統」と紐づけてその教育目的としている以上、銃剣道を通じて子どもたちのなかで育まれる「伝統的な考え方」は、軍国主義のイデオロギーに行き着く以外にない。当然、それは安倍政権が邁進する“戦争のできる国づくり”の一助となるだろう。

 日本文化の研究者であるカドー・イブ氏(トゥールーズ大学)は、『オリンピックが生み出す愛国心』(かもがわ出版)に寄せた武道必修化に関するコラムのなかで、こんな表現をしている。

「イデオロギーは人びとに反感を覚えさせないように宿借りをし、その殻をトロイの木馬として利用する」

 教育勅語の問題にしても“パン・和菓子問題”にしてもそうだが、「伝統」という仮面の裏には政治目的が隠れている。わたしたちは、こうした安倍政権による戦前回帰教育に徹底して反論しなければならない。
(宮島みつや)

■参考文献
『図説日本武道辞典』(笹間良彦/柏書房)
『現代体育・スポーツ大系』第22巻(浅見俊雄、宮下充正、渡辺融・編/講談社)
『大日本武徳会研究資料集成』第9巻(中村民雄・編/島津書房)

最終更新:2017.11.24 06:19

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。