確かに、本サイトでも報じているように、渡辺がケイダッシュに移籍したのは前妻との離婚にもいたったスキャンダル対策だった。
デビュー以来、演劇集団「円」に所属していた渡辺だったが、2001年、当時の妻の借金問題に端を発する大スキャンダルに見舞われる。妻の借金や宗教問題、さらに渡辺の数々の女性関係も浮上し、当時の芸能マスコミは連日のように渡辺に対する大バッシング報道を展開した。その時、渡辺が頼ったのがバーニング傘下のケイダッシュだった。実際、その効果は絶大で、渡辺がケイダッシュに移籍すると、マスコミのバッシング報道はその思惑通りピタリと止む。ケイダッシュは、そのマスコミ対策や影響力をまざまざと見せつけたものだ。
しかしその関係は変貌していく。それは渡辺がハリウッドに進出し、アメリカに生活の拠点を移し、そして世界的俳優との評価を得たことが大きい。アメリカの映画ビジネスは日本と違ってエージェント制であり、エージェントを介して自分でやりたい仕事やスタッフを選び、ギャラを交渉する。それを目の当たりにした渡辺が、芸能事務所がタレントや芸能界を牛耳る日本のシステムに対し疑問を持ち、意識が変わるのは当然だろう。しかし対するケイダッシュは、日本型大手芸能事務所の典型のようなところ。そのため、渡辺と事務所とのあいだに距離ができたといわれている。
そこに降って湧いたのが今回の不倫報道だった。ワイドショー各局も当然のようにケイダッシュにお伺いを立てたらしいが、今回に関しては一切NGとは言われなかったのだという。事務所としては、自分たちのコントロールが効かない渡辺に対し、お灸を据え、ある意味“見せしめ”にし、自分たちのマスコミへの影響力を見せつけることで、“今後は逆らうとどうなるか”という警告の意味もあったというのが、本サイトが指摘した渡辺不倫報道の内幕だ。
そう考えると、今回の川村会長による異例のコメントは、子飼いの芸能マスコミを使っての渡辺へのさらなる警告であり、また自身の芸能マスコミへの影響力を見せつけるものだ。そして「女性自身」もまた、ケイダッシュに見事に追随し、ダメ押しするように記事をこう締めくくっている。
「渡辺はいまの自分があるのが誰のおかげか、もう一度よくかみしめるべきだろう」
いまの“世界の渡辺謙”があるのは、何より『ラストサムライ』(2003)をはじめ、日本の芸能界の力学とは関係ないハリウッドでの成功を、自らの実力で獲得した渡辺と、それを見出したハリウッドのキャスティングディレクターでもある奈良橋陽子によるものだと思うのだが……。
恐るべしタレント支配、日本芸能事務所と芸能マスコミの癒着、である。
(林グンマ)
最終更新:2017.11.22 01:28