小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

バス旅出演の羽田圭介が新作でテレビの裏側を暴露!『情熱大陸』は「本当の顔が撮れていない」と何度もダメ出し

「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z」に出演する羽田圭介、田中要次、IMALU(テレビ東京HP)


 芥川賞作家の羽田圭介が、テレビ東京の人気番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」新シリーズのレギュラーとなったことが発表された。2015年、『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋)で、又吉直樹とともに第153回芥川賞を受賞以来、テレビに引っ張りだことなっている羽田圭介。もはや又吉以上にタレントらしい羽田だが、そんな彼が受賞後に書いた作品としては実質的な第1作目となる、『成功者K』(河出書房新社)が今月10日に発売され、早速大きな話題を呼んでいる。

 この作品の主人公は、芥川賞受賞後、それまでくすぶっていたのが嘘のように大ブレイクし、テレビや講演会などの仕事が引っ切りなしに舞い込んでくるという、明らかに羽田自身をモデルにしていると思われる「K」なる人物。そんな彼は、華やかなテレビの世界で成功をおさめるや否や急に寄ってくるようになった女性ファンを次々と食っていく。テレビ出演のおかげで収入は激増、そして、それ以外の時間は休む暇もなくセックス三昧の日々と、男の夢を具現化したかのような生活を送るのだが、その一方で新たな小説の執筆は遅々として進まず、だんだんと主人公は心身ともにバランスを崩していく……というのがあらすじだ。

 羽田はこの小説について「6割5分が本当の話」(17年3月10日「デイリースポーツオンライン」)と語っているが、確かに、ファンを食い散らかしているくだりは真偽不明としても、作中では芥川賞受賞後からめまぐるしく変わる日々のなかで感じた思い、特に、テレビをはじめとしたメディアに対しての疑念のようなものが生々しく描かれている。

 前述したように、テレビに出るようになったKは、金もモテも手に入れることができ、良いこと尽くめのようにも思えるが、その代償もまた大きい。そのひとつが、一般の人に顔が割れてしまったこと。無防備に繁華街などを歩けば、テレビでのイジられキャラそのままにからかわれたりもする。

 そしてもうひとつが、すべてを自分でコントロールできる小説とは違い、テレビでは自分の発言や行動が編集によってねじ曲げられて伝わってしまうことだ。作中、Kは某有名ドキュメンタリー番組の長期取材に付き合わされ、だんだんとそのスタッフらに敵意をもつようになっていく。小説内で具体的な番組名は明かされないが、後々に出てくる細かい情報から類推して、これは『情熱大陸』(TBS系)のことを指しているのだろう(羽田は15年12月20日放送分に出演している)。

 作中でKは、番組ディレクターから何度も同じ質問を繰り返し聞かれたうえ、「本当の顔」が撮れていないとも告げられ、ドキュメンタリーの撮影は難航する。撮影開始当初は長寿ドキュメンタリー番組の撮影に好意的だったKも、プライバシーの領域にまで入り込まれることが日常化するにつれ、だんだんとドキュメンタリーの制作スタッフにネガティブな感情を抱くようになる。虚実ないまぜの小説ではあるが、ここの描写に関しては羽田自身の本音に近いのではないだろうか。というのも、「文學界」(文藝春秋)17年3月号に掲載された村田沙耶香との対談で羽田は、テレビ上でのキャラづけについてこんな不満を吐露していたからだ。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。