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横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」⑦

新潟県の米山知事が記者クラブを開放した会見で語った原発と共謀罪への疑問、鹿児島・三反園知事との連携

 また、この避難体制の不備、バス運転手の確保の問題に関しては、三反園訓・鹿児島県知事との連携についても聞いてみた。「再稼働させるかどうかの権限はない」と言って川内原発再稼働を容認した三反園知事だが、米山知事の論法(避難計画が不十分な現状では原発再稼働は認められない)を九州電力にぶつければ、川内原発を止めることが可能と思ったからである。

──いまの現状で、例えば、鹿児島県の川内原発が稼働していますが、バスの運転手が本当に確保できているのかと。新潟県と同じ問題を抱えていると思うのですが、三反園知事との意見交換や他の原発立地自治体の首長との意見交換、連携などについてはどうですか。

米山知事「自然にできていくと思います。知事会等で出すわけですから、知事会の方々もいろいろなご意見もあるところですし、そのなかで自然に意見交換がなされると思います」

 米山知事は、東京新聞の三反園知事に関する質問に対し、「もう少しいろいろ用意されていてもよかったのではないでしょうか」「付け焼き刃と言うか、目の前の事態に対してそれなりに想定されていた対応をなされていたようには見えない」という感想も述べていたが、方向性が同じ知事同士として連携しないのかとも聞いてみた。

──(原子力防災についての知識の)蓄積のある米山知事が三反園知事にアドバイスして、例えば、避難計画が不十分だから原発再稼働できないと突っぱねることができるとか、ノウハウとか知識、経験を伝えると、三反園知事もまた(脱原発を望む県民の)期待に応えるようになるのではないかと思うのですが、そういうことをやられるお考えはないでしょうか。

米山知事「三反園知事は三反園知事のあのスタイルで民意を受けて当選されたわけですから、あのスタイルを貫かれてと言いますか、ご本人のご判断だと思います。もちろん、(三反園知事が)一緒にやりましょうと言えば一緒にやりますし、そこは三反園知事が三反園知事のご判断で決めればいいのかなと思っています」

 原発推進の前知事を破って当選した三反園知事と、原子力ムラと対峙してきた泉田前知事路線を引き継いだ米山知事では、原子力防災に関する“蓄積”(ノウハウや知識や経験など)に大きな違いがある。だからこそ、米山知事が原子力ムラの圧力に抗する手法を全国に発信することは意義深いといえる。

 世界最大級の柏崎刈羽原発を抱える新潟県の米山知事が今後、さまざまなリスクと原子力ムラの圧力に向き合いながら、自らの考えをどう県内外に発信いくのか。米山知事はメディア懇談会を月一回程度開いて定例化する考えも表明している。テロ対策を含む原発政策の先進県として、新潟県の取組みを県内外に発信する貴重な場となることは間違いない。
(横田 一)

最終更新:2017.11.20 04:02

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