しかも、稲田防衛相と歩調を合わせるように、自衛隊トップである河野克俊統合幕僚長は「(「戦闘」という言葉を)よく意味を理解して使うように(隊員に)指示した」と言い、実質上、「戦闘」という言葉を使うなと“規制”した。南スーダンでは今後、さらに状況が激化することが国連の調査などで予測されているが、これでは現地の隊員が事実を伝えることはできなくなってしまうだろう。つまり、稲田防衛相や安倍首相をはじめとする為政者たちの「言葉遊び」によって、自衛隊員の命を危険に晒し続けているのである。
改憲するまでもなく、もはや憲法は意のままにできる──。この思い上がりも甚だしい稲田防衛相に対し、国会前には思い思いのプラカードを掲げた市民が集結。大きな主催団体があったわけでもなく、急遽SNSでアナウンスされた抗議活動だったが、大勢の人びとが「憲法を守れ!」と声を上げたのだ。
今回の抗議行動に参加し、スピーチをおこなった中野晃一上智大学教授は、どんな法案も強行採決で押し通してしまう政治は「手強い」と指摘。監督義務者である国民によって退陣に追い込む必要を訴えると同時に、詰めかけた取材陣に向かって「マスコミも監督義務者」「マスコミには責任がある。遠慮している場合ではないですよ」と促した。
「言葉を壊すな」。市民による抗議では、こんなコールも飛び出した。言葉によって事実をねじ曲げていく政権の暴走と、言葉を選び、当たり前の批判もできないマスコミ。だからこそ、失望して見て見ぬ振りをすることはもうできない。もうこの国は、「戦争」を「事変」と言い換えた、あの時代まで巻き戻っているのだから。
(編集部)
最終更新:2017.11.16 01:15