しかし、いまの日本の状況を見ていると、仮に、安倍首相がトランプの要求に応じて在日米軍駐留費用の全額負担を決め、難民受け入れ拒否などの排外政策に追従したとしても、メディアでこんな批判が巻き起こるとは思えないし、権力内部でこうしたバランスが働くこともありえないだろう。
むしろ、新聞・テレビからトランプ批判は一切姿を消し、「アメリカに守ってもらうためには駐留経費負担はやむをえない」という論調が大勢を占め、裁判所は政権の決定を後押しする判決を連発する。そして、人種差別やヘイトがいま以上に広がり、最後は、安倍首相とトランプの引き起こす戦争に国を挙げて一気になだれこんでいくのではないか。そんな気がしてならないのだ。
トランプはたしかに危険だ。しかし、私たちはトランプを恐れる前に、それ以上に危険なものを自国の中に抱え込んでいることを自覚する必要がある。
(宮島みつや)
最終更新:2017.11.16 11:57