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室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第1回ゲスト 金子勝(前編)

室井佑月が経済学者・金子勝に訊く! このまま安倍政権が続いたら何が起きるのか、その恐怖のシナリオとは?

●経済破綻を隠すために安倍の極右路線はエスカレートする

金子 経済破綻のリスク要因としては、あと、ヨーロッパがすごく不安定。今年3月にオランダの総選挙、フランス大統領選が続き、秋にはドイツの連邦議会選挙がある。選挙結果によっては、EU離脱が相次ぎ、ヨーロッパで金融危機が起きかねない。ドイツ銀行もバ―クレイもクレディスイスも悪い。さらに、イタリア第3位のモンテ・パスキ銀行がいま、経営危機で公的資金が注入されるという話になってるけど、これにEU離脱が加わったら、自国通貨が暴落。ハイパーインフレとなり、イタリアの金融が潰れる。その国債を持っているヨーロッパの金融機関がアウトになる。

室井 金融危機はどんどん伝染するもんね。

金子 そう。もしヨーロッパで金融危機が起きたら、リーマン・ショック並に世界経済を直撃する可能性は十分ある。しかもこうした金融危機、景気循環のサイクルは10年なんだ。リーマン・ショックが08年。だから2017年から2019年が危ないと見ている。

室井 日本は不動産バブルが崩壊し、EU離脱ショックが加わり、とダブルパンチ。

金子 加えて、日本は地域がどんどん弱っていて、内需が弱り、労働分配率がどんどん落ちている。賃金も上がらず家計消費も上がらず、しかもイノベーションは起きないでしょ。そんななか、安倍が生き残るとしたら、ナショナリズムを煽る極右路線しかないんだ。実際、極右的な政治の跋扈は、常に経済状況の悪化が引き金になることが多い。日本だけでなく世界的にね。

室井 安倍さんの場合はもうやってるけどね、極右路線。でも、もっとひどくなるということか。マスコミをさらに懐柔して脅して。NHKなんか2018年からは震災復興のサポート番組を終了させて、オリンピック一色になっちゃうんじゃない。そんな気がする。震災は切り捨てて、国威発揚のためにオリンピック一色。この流れってもう止められないのかな? 

金子 僕は悲観してない。こんなものが永遠に続くわけがない。しかも騙され方がこれだけ酷いと、あとの怒りも大きくなる。こんなダメな世界だからこそ、次の世界は激変が起こる。それを考えるとワクワクするところがある。現在は、激動の大転換期に立ち会っていると思っているんだ。

室井 金子先生、ちょっと楽観的すぎなんじゃない。だって安倍政権の支持率が64%(日経新聞・テレビ東京合同16年12月調査)だよ。真珠湾行ったら国民の84%が評価するんだよ。騙されたとわかったときには、もう騙されたって声に出して言えなくなってるんじゃないの? 安倍さんは憲法改正についてGHQに押し付けられたみっともない憲法だって言ったのに、真珠湾訪問では「アメリカのお陰で」とか真逆のことを言ったのに。誰も気持ち悪いと思わないの? メディアも真珠湾訪問を評価するばかりで、こんな簡単な矛盾も指摘しない。評論家にしても記者にしても、昔は左だったのに、安倍政権になって右転換したら、すごい仕事がきて大儲けなんて話ばかりじゃない。私は逆だけど。

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