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流出メールで発覚! ヒラリー・クリントンが「尖閣諸島の日中対立は日本の国粋主義者のせい」と発言していた

 しかし、ヒラリーは別に親中的な立場でこれを言ったわけではない。実際、同じ講演では「もし北京が北朝鮮の“核の野望”を抑え込むことに失敗したら、ミサイル防衛で中国を包囲するつもりだ」と、中国を恫喝するようなセリフも吐いている。

 にもかかわらず、ヒラリーが尖閣諸島の件で同盟国の日本を批判したのは、それが客観的な事実だからだ。

 たしかに、中国が南シナ海などで横暴な海洋進出を行っていることは事実だ。しかし、その中国も尖閣諸島については、もともとはかなり抑制的だった。それは、日中国交正常化の際、両国政府が尖閣問題を「棚上げ」するという暗黙の合意があったからだ。

 ところが12年4月、日本の側がこれを破ってしまう。当時、東京都知事だった石原慎太郎が突如、都で尖閣諸島の一部を買い取るという計画をぶちあげ、購入資金にあてる寄付金を募り始めたのだ。この動きを受け、当時の野田首相は、中国に対してタカ派の姿勢を鮮明にする石原の東京都が尖閣を購入するよりも、国の保有としたほうが反発は少ないと判断し、国有化という苦渋の決断をしたのだ。

 しかし、中国側は、この尖閣国有化により、日本政府が尖閣の実効支配を強め、挑発してきたと受け止め、中国内では「反日デモ」が勃発。そして中国側と合わせ鏡の形で、日本国内のナショナリズムもまた大衆的なレベルで強く燃え盛り、今日の日中関係の悪化へと至った。

 事実、海上保安庁が発表している「中国公船等による尖閣諸島周辺の接続水域内入域及び領海侵入隻数」によれば、日本の領海内、また継続水域内で確認された中国船の隻数は、12年9月を境にそれまで年間数隻だったのが、爆発的に増加している。

 それまで日本政府はあくまで尖閣諸島の「棚上げ」の認識を保つことで(綱渡りであったとしても)かろうじて中国側とのバランスをとろうとしてきた。ところが石原の購入計画に端を発する国有化で、中国側に日本が「棚上げ」の姿勢を崩したとみなされ、領海侵入の“口実”をつくらせてしまった。

 そういう意味では、尖閣をめぐる日中対立は、石原慎太郎都知事がもたらした、東京五輪や豊洲新市場以上のとんでもない“負の遺産”だったのだ。

 そして、そのことを指摘したヒラリー・クリントンの非公開講演での発言は、事実にもとづいたごく真っ当なものだったといえよう。しかも、13年といえば、ヒラリーが外交政策を担う米国務長官を退任した直後であり、これは米国政府、いや、国際社会の共通認識でもあった。

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