水道橋博士はこの時「マイケル・ムーアは映画で当たったお金は、いろいろな形で低所得者層に寄付してますよ。確かに映画は当たったし、お金儲けしたかもしれないけどそれは還元しています」と言い返したというが、博士がこのエピソードを公開したのは、作品を見てもないのに謀略情報を信じ込んでレッテル貼りをする安倍の反知性的本質を暴露する意図があってのことだろう。
だが、安倍応援団やネトウヨ(そして、実は安倍首相自身も)は、こうした批判にこそもっとも過敏に反応する。「知性」コンプレックスの強い彼らは、「知性や教養のなさ」を「上から目線」で説教されたとたん、それに耐えられずヒステリーを起こして、相手を「反日」「サヨク」よばわりをはじめる。そして、批判者の小さな間違いを必死になって見つけ、それを針小棒大に膨らませ、デマや陰謀論を拡散する自分たちと同じ地平に引きずりおろそうとするのだ。
多くの知識人や文化人は、その傾向をよくわかっているから、心の底では馬鹿にしつつも炎上という面倒なことを避けるためにネット上ではその部分には触れないようにしている。ところが、博士は今回、そこに踏み込んでしまったのである。
もちろん、ネットリテラシーに長けた博士が無自覚にそれをやったとは思えない。博士はおそらく今、安易な感情を煽ってマスヒステリーをつくりだし、独裁政治を築こうとしている安倍の政治手法と、デマと悪罵の攻撃で政権批判を抑え込む安倍応援団=ネトウヨが連動している状況に相当な危機感を抱いているのだろう。だからこそ、あえて「上から目線」の「ネトウヨ批判」によって、彼らを挑発しようとしたのではないか。
そして、この過剰反応を見れば、この博士の目的は達成することができたと考えるべきだろう。
しかも、博士は今のところ、炎上攻撃にもまったくひるんでいない。どこぞのネトウヨ作家のように片っ端からブロックすることもせずに、悪罵攻撃にもいちいち返答をして見せ、数々の修羅場や炎上をくぐりぬけた芸人としての気骨を見せている。
これからも博士には、それこそ「知性と教養」の側から安倍政権やそれを支持する安倍応援団の「反知性」をどんどん挑発し続けてもらいたい。
(宮島みつや)
最終更新:2017.11.24 07:16