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週刊新潮が天皇の「お気持ち」表明を“暴走”“憲法違反”と徹底攻撃!「NHKの情報源は天皇」とも

「米国による“押しつけ憲法”から脱却し、改正しようと躍起になる安倍政権をけん制されてきたとも拝察されますが、そのご自身が憲法に抵触なさってしまえば全てが水の泡です。(中略)いずれにせよ、こうした“暴走”を、宮内庁は止められなかったわけです」

 天皇に対して「暴走」とまで言い切るとは、本当にこれ、皇室担当記者が語っているのだろうか。大手紙の現役宮内庁担当記者に直撃したところ、苦笑しながらこんな答えが返ってきた。

「宮内庁記者クラブというのは、良くも悪くも役人のような記者ばかりが集まっているところなんで、あんな過激な物言いをする人はいませんよ。事実、記者同士の雑談でも陛下に同情的な声が大半で、『お気持ち』について憲法違反を指摘する声なんてほとんど出てきてませんから。それと、『週刊新潮』はNHKの情報源が天皇陛下だといっていますが、陛下が直接、マスコミに情報をリークするのもありえない。そういう意味でも、事情を知らない人間が話しているとしか思えない。おそらく生前退位や陛下の姿勢に批判的な保守系の評論家に匿名で話を聞いて、我々のせいにして記事をつくったんじゃないでしょうか」

 自分たちの主張を皇室記者のふりをして語らせるとは、いかにも「週刊新潮」らしいやり口ではないか。しかも、連中がもっともらしく語っている「憲法違反だ」という主張自体も、明らかに為にするものだ。

 たとえば、憲法学者の長谷部恭男氏は、天皇が生前退位の意向を示すことを憲法違反だとする意見について、「世界」(岩波書店)10月号でこう反論している。

「政治的意味合いを持つという理由なのでしょうが、私には、憲法に反するとは思えません。もちろん、現在の皇室典範は退位を想定していませんので、新たな立法が必要という意味では、一定の政治的な帰結をもたらし得る話です。しかし、だからといって天皇が生前退位を示唆してはいけないのか。(中略)憲法が天皇は政治的機能を持たないというときに想定しているのは、国事行為において『この大臣の任命には反対だ』とか『今の衆議院は解散するしかない』と言い出したり、あるいは天皇が等は政治に巻き込まれたりする事態です。外国の話ですが、1936年、イギリス国王だったエドワード八世は、離婚歴のある米国人女性とどうしても結婚したいと言って結婚しましたが、そういう自分本位の話ともまったく違う。あくまで憲法の想定している天皇制を永続的、安定的に支えようと思えば、いまの自分の体力ではそろそろ難しい、ということでしょう。非難されるべき点があるとは思えません」

 たしかに、長谷部教授のいうように、今回の生前退位の意向というのは、憲法違反どころか、むしろ天皇の憲法遵守の意識から生まれてきたものだと言える。それは、「お気持ち」ビデオメッセージをきちんと読めば、明らかだ。

「天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました」(「お気持ち」ビデオメッセージより)

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