そんなところから永田町では、泉田知事の出馬撤回はフェリー問題とは別の理由があったのではないか、という見方がささやかれている。
「フェリー問題程度の話ならば、泉田知事が原発再稼働反対を争点に知事選に出馬すれば、吹き飛ばすことができたはず。それなのに、出馬を撤回したというのは、身辺にもっと決定的な問題があって、それを突きつけられた可能性が高い。ただ、それを明らかにするわけにはいかないので、新潟日報のフェリー問題報道のせいにしたのではないか、と言われてますね」(全国紙政治部記者)
ただし、これは原発再稼働問題と無関係ということではない。昨年くらいから、原発再稼働をもくろむ自民党、官邸、地元財界、東京電力が一体となって、泉田氏に知事選に出馬をさせないように“泉田おろし”に動いていたのは明らかな事実だからだ。
「自民党や官邸、地元財界は原発再稼働に協力的な森民夫長岡市長に候補を一本化しようと動いていました。しかし、泉田氏が立てば、原発が争点になってマスコミに大々的に報道され、逆効果になりかねない。そこで、とにかく泉田氏に出馬を翻意させようと、あの手この手を使って働きかけていた」(地元紙記者)
ただ、それでも泉田知事は翻意することなく、今年2月、知事選出馬を表明した。そこで、泉田氏に決定的な脅しが突きつけられたのではないか、というのだ。
「それも、新聞や週刊誌が取材に動いたということでなく、官邸もしくは自民党が6月ごろ、関係者を通じて泉田知事にスキャンダルの存在をほのめかしたのではないか、と言われています」(前出・全国紙政治部記者)
実は、泉田知事をめぐっては、13年7月、東京電力社長との会談で、柏崎刈羽原発再稼働申請に真っ向から反対姿勢を示した後に、官邸、自民党、原子力ムラが一体となった、ネガティブキャンペーンとスキャンダル探しが行われたことがある。
当時、経済産業省や原子力規制庁の役人がしきりに泉田知事の悪口を流布していたことを、泉田知事と経産省時代の同僚である古賀茂明氏が証言しているし(「週刊現代」13年7月27日・8月3日号)、評論家の佐高信氏は連載コラムで「東電のウソを叱った新潟県知事の「国策逮捕」もあながち空想ではない」と題し、福島県の佐藤栄佐久前知事と同じように泉田氏逮捕の危険性があることまで示唆した(「サンデー毎日」13年7月28日号/毎日新聞出版)。また、泉田知事自身も、「週刊朝日」(13年12月30日号)の室井佑月氏との対談で、「やっぱり車、尾行されたり、女性関係、調べられたりしてるんですか?」と質問され、こう答えている。