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生活保護を食い物“貧困ビジネス”が行政と癒着? 生活困窮者には申請拒否の一方で詐欺集団の受給申請はすぐ認可

「新品の洋服・下着・くつ下を購入して、新宿歌舞伎町に向かい、1万円を渡して、ホームレスから洋服を交換した。
臭いが足りなかったので、大久保で、臭豆腐と言う腐敗した中国の食材とクサヤ・釣りえさのオキアミを入れて、腐敗させて戸田市福祉課向かった(略)効果はてき面、N氏の圧力と共に、その日、生活保護が認められるようになった」

 貧困ビジネスを成功させるため同和団体を名乗る人物と一緒に嫌がらせを行い、行政に圧力をかけた和合社長。その作戦は大成功をおさめ、味をしめた和合社長はその後自ら同和団体の支部長を名乗り、名刺を作った上で何カ所もの役所に乗り込んだ。その名刺は役所では“印籠”のごとく効果的で、以降ユニティー入居者の生活保護申請は難なく通るようになったという。

 こうした行政の対応やユニティーのピンハネについて疑問を持った長田氏は福祉課の担当者に直撃するも「私共に言われても困ります。問題があるなら警察に相談してください」「保護費を支給した後、それがどうなるのか、そこは私共の責任ではない」という逃げ腰の姿勢だったという。

 長田氏はこれを「まさか、癒着があるのだろうか?」と記しているが、それだけではない。実はユニティーのような貧困ビジネスは行政にとっても渡りに船という事情があったからだ。

「ユニティーのような施設は、ケースワーカーの業務を簡略化させる一面がある。やはり、個別にアパートに住んでいるより、一つの施設でまとまってくれると業務が楽になるのだ。『ユニティーさんのおかげでうちの業務がかなり楽になってますよ!』とケースワーカーからお礼を言われたという職員もいるぐらいだ」

 同和を利用した嫌がらせ、行政の事なかれ主義、そして業務簡略化という様々な面で、行政と貧困ビジネスに“癒着に似た共存関係”があると指摘される。当然、こうした行政の怠慢は貧困ビジネスに搾取される入居者を増加させるものだが、しかし“アパートに住み自立するより搾取されても寮にいたい”という入居者の切なる事情も存在する。

「アパートへ移ったら孤独になることは間違いないが、ここにいれば寮の中に仲の良い酒飲み仲間がいる(略)。もうひとつの利点として、ユニティーにいる高齢者や持病がある者は、寮で生活しれば、すぐ助けを求められることだ(略)。他に行き場もなければ身寄りもないので、致し方なく、ここを選んでいるに違いない」

 長田氏はその後ユニティーを相手取った訴訟にも関わっていくが、政府の貧困への根本的無対応、行政の怠慢と狭間が生んだ貧困ビジネスという“必要悪”。そんな言葉さえ思い浮かんでしまうのが、現在の貧困問題の実像だ。様々な社会の矛盾が集約された貧困ビジネスの現場。安倍政権が打ち出す“国家総動員法”といわれる「1億総活躍」の影で、こうした人々は今後も打ち捨てられていくのだろうか。
(林グンマ)

最終更新:2016.07.19 05:30

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