この「健全育成」「倫理大国」とはなにか? 自民党の機関紙「自由民主」10年4月20日号で、大家氏はこう書いているのだ。
〈新生児から義務教育を通じて、皇室を敬い、地球を愛し、国を愛することを教え、危険が迫ったときは立ち上がる心をもった国民になるよう子供たちを育てていかなければならない。このことが、将来の倫理大国建設につながる大きな柱になるものと考えている。〉
いや、この“危険が迫ったときは立ち上がる国民になるよう育てる”って、完全に“自発的に兵士にさせる”ってことだろう。つまり、義務教育を通して子どもたちに“愛国教育”を強制し、いざとなれば「お国のために!」と進んで戦場へ向かうよう洗脳しましょう!と言っているのだ。文句なしに☆3つである。
わが子を戦地へ送りたくないと思うお母さん、お父さんたちには、本当にこういう政治家に投票していいのか、よくよく考えてみてもらいたい。
■安倍首相直々に出馬要請した“極右改憲イデオローグ”の歴史修正主義
☆☆☆ 山田宏(自民党/比例)
元杉並区長で前衆議院議員の山田宏氏だが、区長時代から「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書採択に尽力し、南京大虐殺の否定、外務省のHPから従軍慰安婦に関する記述を削除させるなどなど、歴史修正運動を展開。日本の戦争に対しても雑誌の対談でこんな持論を展開している。
「日本は蒋介石の中華民国とは戦ったが、ほかのアジアの国々とは戦っていなない。アジアの諸地域を植民地にしていた欧米と戦ったのである。『あの戦争が侵略だと規定することは自虐でしかない』と言った石原慎太郎(当時・日本維新の会)共同代表の指摘こそ正論であると、私は思っている」(「正論」2013年8月号)
また、民族差別の意識も相当根深く、先の衆院選ではツイッターで〈今年最高裁は「生活保護費を外国人に支給することは違憲」との判決を出した〉というデマツイートを行った。最近も例の「保育園落ちた」ブログに対して、「まあ落書きですね」「『生んだのはあなたでしょう』『親の責任でしょ、まずは』と言いたいところだ」などと述べたことでも問題となったのは記憶に新しい(さらに直後、不倫隠し子が発覚するというオチつき)。
そんな極右丸出しの山田氏だが、先の衆院選では極右政党・次世代の党から出馬して落選。すると落選が決まってすぐに、安倍首相が直々に電話してきて、自民党からの出馬を要請されたという。夕刊フジ15年10月23日付によれば、このとき安倍首相は「これからぜひ国をよくするために力を貸してほしい」と山田氏に語り、その後、菅義偉官房長官からも「首相は、(山田氏は)国にとって惜しい人物なので自民党として救いたい、と言っている」とベタ褒めされたらしい。
安倍首相が山田氏を自民党に迎え入れた理由はなにか。それは、山田氏を改憲の“鉄砲玉”として使うためだろう。今年3月、都内で開催された日本会議の集会に出席した際、山田氏は「現行憲法は占領時代にGHQが1週間で作ったのだから無効。とくに9条2項に絞っては発議をかけるべきだ」と熱弁を振るったという。
今回の参院選で、自民党は改憲発議に必要な3分の2議席の獲得という争点を徹底的に隠しているが、山田氏を“極右改憲イデオローグ”として引き入れたことこそが、安倍首相の本音を物語っている。