例えば、片山虎之助議員が代表を務めていた「維新の党参議院比例区第1支部」の2015年分政治資金収支報告書によれば、「参議院比例区第1支部」は15年12月18日に、「維新の党本部」から「交付金に係る収入」として500万円を得ている。室井議員の「参議院比例区第53支部」、藤巻議員の「参議院比例区第63支部」にも、同日に同額を交付金として本部から受け取っている。
これらの選挙区支部は年内に解散するにもかかわらず、師走の18日に受け取った500万円を含む政党交付金を“本当に使い切ったのか?”という疑問が湧いてくる。
そこで、支出欄をチェックしていくと、本部から政党交付金を得たあと、年末にそれぞれ、約950万(第1支部)、約1100万(第53支部)、約420万(第63支部)という大金を「なんば維新」なる聞きなれない団体に寄付していたことがわかる。これはいったい何なのか。
総務省公開の資料を調べてみると、「なんば維新」なる団体の届けがあったのは昨年12月11日。その所在地は、現在のおおさか維新の会とまったく同じ。しかも代表は島松洋一氏とある。実は島松氏は、おおさか維新の松井一郎氏の府議時代からの私設秘書で、府知事の特別秘書だった人物。島松氏は、松井氏が府議時代に社長を務めていた会社から給与を出していたことで12年10月に政治資金規正法違反容疑で大阪地検に刑事告発された後、秘書を退職したが、その後は日本維新の会の事務局次長、おおさか維新の会事務局長を務めるなど、松井氏の右腕中の右腕なのだ。
このあまりにも怪しい急造政治団体への、うさんクサいカネの動き――。実は、このカラクリを、他ならぬ離党組で現・おおさか維新の会所属の足立康史衆議院議員が、先日5月26日、自身のツイッターで大暴露してしまっていた。
〈維新の党の残金は、当面の必要経費を除いて国庫に返納しました。必要経費については、残留組は維新の党として年越しできましたが、おおさか組はできません。そこで、なにわ維新という暫定の箱を作って年越しした次第です。ザッツオール。〉(原文ママ)
足立議員が言及している「なにわ維新」なる政治団体の代表者と会計責任者、そして住所は、疑惑の「なんば維新」と同一。また、「なにわ維新」の15年分収支報告書をみると昨年末をもって解散しており、収入支出ともに0円で寄付を受けた形跡はないから〈暫定の箱を作って年越し〉はできない。あきらかなペーパー団体である。ようするに、足立議員はこの名称が酷似した二つの団体、「なにわ維新」と「なんば維新」を取り違えてツイートしたとみるのが妥当だ。
いずれにせよ、足立議員は“残金は国庫に返納しました”などと言っているが、これはどう考えてもおかしいだろう。確認だが、現在公開されている片山議員らの政党支部はそれぞれ、解散直前に受け取った政党交付金500万円を含む収入と支出が差し引き0円。誰がどう見ても、疑惑の寄付の原資が交付金である可能性は極めて高い。つまり、本来は国庫に返還しなければならない“使い切れなかった”交付金を、コッソリつくった別団体に一旦プールし、年明けにおおさか維新の会のほうに移した。そういうことだろう。