G7伊勢志摩サミット公式ホームページより
伊勢志摩サミットで自らの失策を隠蔽するために、“リーマンショック並みの危機”なるデマをふりまき、世界の失笑を買った安倍首相。だが、今回、もうひとつ啞然とするような大嘘をついていたことはあまり知られていない。
それは、福島第一原発事故をめぐる大嘘だ。5 月 27 日に公表された「G7 伊勢志摩首脳宣言」には、こんな文言が記されている。
〈我々は、福島第一原子力発電所における廃炉及び汚染水対策の着実な進展、並びに福島の状況に関する国際社会の正確な理解の形成に向けて、国際社会と緊密なコミュニケーションの下で オープンかつ透明性をもって日本の取組が進められていることを歓迎する〉
いったいどの口でそんなことがいえるのか、と呆れるほかはない。福島第一原発事故の収拾は決して「着実に進展」などしていない。廃炉作業にしても、事故から5年以上経った現在でも溶けた核燃料「デブリ」がどこにあるのかさえ分からず、廃炉の具体的日程さえ決定していない。また、汚染水にしても、保管スペースの不足、多発する汚染水漏れ、海洋放出、凍土壁が凍らない問題など、まったく対応が追いつかず、相変わらず大洋に汚染水を垂れ流し続けている。実際、サミット直前の5月23日にも1〜4号機の作業用スペースで放射性物質を含む雨水が漏れていたことが発覚している。
福島ではいまだ10万人ほどの人々が避難したままで、除染はいたちごっこ状態で進まず、農作物は放射線の基準値を超え、漁業停止も続き、十分な賠償もないことから集団訴訟も相次いでいる。また、福島県の子どもたち167人もが甲状腺がんを発症し(今年2月15日福島県有識者会議の発表)、その発症率は全国平均の20〜50倍という専門家の分析もあるほどだ。
しかし、日本政府、安倍首相はこうした事実をネグり、「首脳宣言」で原発事故の処理は順調であるとウソのアピールをした。これはサミットに参加した7カ国の共同宣言の形式を取っているものの、外務省の根回しの結果だった。