さらに、老朽化の問題もある。運転から30年経過した原発は、新規制基準の適合性審査とは別に、規制委の認可を得なくてはならないと原子炉等規制法で規定されている。川内原発1号機も昨年7月に30年を迎えていたが、規制庁、規制委は川内原発について、この老朽化についての審査・認可なしに再稼動を認めようとしていた。そこで、菅直人元首相が老朽化審査の認可前の再稼動は違法ではないかという質問主意書を提出。すると、突如、規制委は審査を早め、再稼動の前の週になって川内原発の老朽化申請を認可した。その上、老朽化した設備等が想定される地震動に耐えられるかの評価が一部間に合わなかったために、九電がその評価を1年間先送りするとし、規制委もそれを認可してしまった。つまり、川内原発は、老朽化によって地震に耐えられるかもわからないまま、再稼働されたのだ。
こんなデタラメがまかり通って再稼働したのが川内原発だ。その挙げ句、ごく近い地域での前例のない異様な地震と火山噴火の危険性。最悪の事態さえ十分に想定できる状態といえるが、しかしそれでも原発利権にしがみつく原発ムラや日本政府はそれを一顧だにしない。まさに高浜氏がいう「殺す気か!」というのは、事実であり正論なのだ。
国民の生命など電力利権の前にはちっぽけなものだということが今回も改めて露呈したわけだが、だからこそ諦めず何度でも言うべきだろう。「すべての原発はいらない」と。
(伊勢崎馨)
最終更新:2016.05.23 08:47