事実、安倍首相が今回、『ワイドナショー』への出演を決めた背景には、参院選の前哨戦といわれる補選での“劣勢”が関係している。
「『ワイドナショー』への出演が発表されたのは今月の10日ですが、じつは急に出演が決まった。その裏には、4月のはじめに北海道新聞が出した補選の調査結果があります。町村信孝元官房長官の娘婿である和田義明候補が野党の池田真紀候補に4ポイント差で負けているというもので、この調査データに自民党は真っ青。なにせ町村さんの盤石な地盤を引き継いだ“弔い合戦”にもかかわらず、この結果ですから。これはまずいということで、安倍首相自ら北海道の有力者へ次々に“直電”するなど対策を講じていましたが、一気に巻き上げるため、もっとも訴求力があるテレビ出演を決めたんです」(新聞社政治部記者)
さらに、安倍首相を駆り立てているのは、北海道5区での形勢不利だけではない。本サイトで既報の通り、党本部が調査会社を使ってひそかに行った衆院選の情勢調査データも想定を大きく下回り“過半数割れ”の可能性が出てきてしまった。そのためにも今回の補選は、絶対に負けられない選挙なのだ。
直接、補選のアピールをすることはなくても、“党の顔”である安倍首相の良いイメージを植え付けられる番組は何か──そこで選ばれたのが、『ワイドナショー』だったというわけだ。
たしかに、『ワイドナショー』は安倍首相にとって現在、最高にアピールできる番組だろう。同番組は10%台を叩き出すこともめずらしくない高視聴率を維持しているだけでなく、毎回と言っていいほど番組内での松本や出演者のコメントはYahoo!ニュースで取り上げられ、大きな注目を集めている。
だが、安倍首相が『ワイドナショー』に白羽の矢を立てたのは、これだけが理由ではないだろう。それはずばり、松本人志の存在だ。
「安保法制が議論になっていた際も、松本氏は番組内で『安保法制反対は平和ボケ』『反対するなら“対案”を出せ』などと安倍首相とまったく同じ主張を行い、安倍首相の愛読誌である『正論』も松本氏を褒め称えていました。安倍首相にもこうした松本氏の言動はもちろん伝わっています。安倍首相は松本氏のことを“もっとも社会に影響力のある自分の理解者”と捉えているはずですよ」(同前)