ドナルド・トランプ公式ツイッターより
佳境を迎えようとしている米大統領選の候補者選びだが、注目の“暴言王”ことドナルド・トランプの人気はあいかわらず衰えを見せず、今なお、共和党候補になる可能性は大きい。
そこで、日本のマスコミが騒いでいるのが「トランプが大統領になったら、米国は日本を守ってくれなくなる」というものだ。
たしかに、トランプはニューヨーク・タイムズなど米メディアのインタビューでも、日米安保条約は不平等と主張し、日本が在日米軍の駐留費負担を大幅に増額しないと撤退させるとまで言う一方、日本の核武装については容認する、つまり、いつまでもアメリカの核の傘に頼るのでなく自分の国は自分で守れといった“過激発言”を繰り返している。そして、安倍首相が何より重視する大好きな「日米同盟」(日米安保条約)ですら、見直し再交渉の対象だと言っている。
しかし、そもそもトランプが大統領になるかどうか以前に、アメリカは有事の際に日本を助けに来るのか?
安倍首相らアメリカ信奉者はふた言目には「日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増し、もはや一国だけで平和を守ることはできない」と言い、日本に何かあったときにアメリカに助けてもらうためにも集団的自衛権行使を認めてアメリカの戦争を助けるしかないと主張してきた。
だが、結論を言うと、アメリカは最初から、有事で日本を助けるなんてことを考えていない。
たとえば、安倍政権は中国を“仮想敵”とし、尖閣諸島に対して力による現状変更を虎視眈々と狙っているという。この設定自体がマユツバなのだが、百歩譲って事実だとして、本当に中国が日本を攻めてきたとき、アメリカはどうするのか。
そのことを示唆したリポートが昨年、米国防総省(ペンタゴン)に直結するシンクタンク「ランド研究所」から発表され、日米の軍事専門家の間で話題となった。
リポートのタイトルは「米中軍事スコアカード」。尖閣諸島を含む台湾周辺で米中が武力衝突した場合、米中双方の敵基地攻撃、制空権確保、対艦攻撃、宇宙戦、サイバー戦、核兵器などの能力をスコア化したもので、結論から言うと中国軍のめざましい近代化により米軍との力の差は縮まりつつあり、最終的には逆転もありうるという内容だ。