■「政治的公平」掲げつつ、仕掛人は裏で「安倍政権のために」を公言
まさに、今回の“スポンサー圧力発言”でそのグロテスクな本性をあらわした「視聴者の会」。会見で連中は「われわれは、政治的公平は論点の多角的提示で担保されると言っている」(小川氏)、「われわれが『安倍応援団』だというストーリーを書きたがる人がいるが、断じてそういうことではない」(経済評論家・上念司氏)などと言っていたが、笑止千万である。
そもそも、本サイトで既報のとおり、「視聴者の会」の事実上の仕掛け人である事務局長・小川榮太郎氏は2012年に『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)なる“安倍礼賛本”を書いたことで世に知られるようになった人物。しかも、この“礼賛本”を安倍氏の事務所から少なくとも370万円分も“爆買い”してもらっていたことも判明している。
そして、同会代表呼びかけ人のすぎやまこういち氏、渡部昇一氏、上念司氏は自民党下野時に結成された「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」のメンバー。上念氏にいたっては、本日4月9日開催された「安倍首相と桜を見る会」の招待を受けて、嬉々として出席しているべったりの関係だ。
また、これも本サイトが明かしたとおりだが、「視聴者の会」の賛同者の面々も、その半数以上が天皇元首化や徴兵制復活を目論む日本最大の極右組織・日本会議の関係者、あるいは親密な関係にある面々だ。
しかも、“安倍応援団の仕掛け”というのは、たんに人脈的な共通性にはとどまらない。
前述した「視聴者の会」の仕掛け人である小川榮太郎氏は、2年とちょっと前から“安倍政権のためにマスコミと徹底して戦う”と表明し、圧力団体結成の構想をぶちあげていたのだ。
日本会議の機関誌である「日本の息吹」13年9月号で、小川氏は、保守派にとって安倍政権の存在は「千載一遇の奇跡」とした上で、「我々草莽がとりわけ注力すべき課題」として、こう述べている。
〈一つはマスコミです。安倍政権の本丸である戦後レジームからの脱却に安倍氏が手を付け出せば、彼らが本性を剥き出しにしてくるのは間違ひありません。そして、輿論は簡単によろめく。(略)マスコミの論調を現実に正常化させる戦ひを開始せねばならない。〉
ようするに、マスコミにもっと安倍政権を支持させるべく、極右界隈は一丸となって「マスコミとの戦ひ」を始めようと呼びかけているのだ。さらにその翌年には、著書『最後の勝機』(PHP研究所)のなかで“テレビ局を攻撃するのが有効である”と具体的に書いている。
〈マスコミ正常化については、草の根保守層に非常に大きな実績がある。それを忘れないでほしい、私はこの点を声を大にして言ひたい。
自民党総裁選で安倍氏が当選した折のカツカレー報道に端を発した、安倍バッシングへの、保守層の強烈なテレビ局攻撃です。あれは実に効果的だった。〉
〈再びあの、我々が例外的に勝利を得られる戦ひ──不当なマスコミへの大量の抗議電話といふ戦ひに絞り、今度こそそれを組織化すべきではないでせうか。〉
つまるところ、安倍首相を応援するために、ネット右翼たちが好き勝手にテレビ局へ行ってきた電話攻撃、いわゆる“電凸”を、しっかりと組織化するべきだと主張しているのだ。