西川公也公式ウェブサイトより
現在、国会で集中審議が行われているTPP問題。民進党は政府の交渉資料の情報開示を求めていたが、5日に開示されたそれは、日付と表題以外はすべて黒く塗られている、まさに“のり弁”のようなシロモノだった。
国民が不利益を被ることを顧みず、アメリカの言いなりで交渉を進めたことを隠すために、すべてを黒塗りしてしまう安倍政権の国民不在の姿勢には、改めて唖然とさせられるが、この問題では、もっととんでもない問題が浮上した。
政府がすべて秘密にしたそのTPP交渉の過程を、自民党TPP対策委員長を務めた西川公也・元農林水産相が、著書として来月出版する予定だというのだ。
その著書のタイトルは、『TPPの真実 壮大な協定をまとめあげた男たち』。出版社は中央公論新社で、5月6日に発売される予定だという。タイトルからも伺えるように、TPP交渉で手柄を立てた自らをアピールする本なのだろう。
本の紹介文には、こうある。
〈未曾有の多国間交渉で、自国の将来をかけて繰り広げられた駆け引き――。自民党TPP対策委員長として最前線に立った著者が、その熾烈な内幕を明らかにする!〉
しかも、この問題を昨日の衆院TPP特別委で質問した民進党の玉木雄一郎衆院議員は、この本のゲラ刷りを入手しており、本の中には「交渉過程そのものにかんする情報」が書かれていると指摘した。つまり、国民には黒塗りの“のり弁”資料を出しておいて、本のほうには開示しなかった情報が書かれている、というのだ。
政府が国家機密に仕立てている情報を、与党の担当者が「内幕を明かす」と称して本にし、印税をがっぽり手に入れる。こんなことが許されていいのか。
交渉過程を黒塗りにした言い訳を、石原伸晃経済再生相は「外交交渉は相手国との信頼関係などの観点から、内容を公開することに制約がある」と言い張り、さらに安倍首相は、こうも述べていた。