また、大竹は、憲法改正についても大きな危惧を抱いている。
「国のことを考えるのは、私たちが選んだ国会議員。みんなの意見の代表のはずなのに、私たちが考えていることとの間に差がありすぎる。井上さんがずっと叫んでいたように、憲法が変わることは絶対に阻止しなくちゃいけないと思う。知らないうちに『あれ、ちょっと言葉が変わってない?』みたいなことにならないように」(前出、朝日新聞インタビューより)
〈唯一の被爆国として、ノーベル平和賞の候補にもなった「憲法9条」をこんなに簡単にないがしろにしていいものなのかということも、誰もが思うことだと思う〉(前出、朝日新聞連載エッセイより)
社会全体が政治的発言に対するタブー視を強めるなか、とくに芸能人は発言を慎みがち。だが、大竹は沈黙しない。なぜなら、“自分の意見を口にすることができる世の中”でなければ、平和はあり得ないからだ。大竹は前述の朝日新聞での連載エッセイに、こう記している。
〈仏陀の説いた個人個人の幸せについて、今考える。宮沢賢治や井上ひさしさんもおっしゃっていた、そうでなければ世界の平和はあり得ないということについて。
が、今の日本の状況を考えると少し不安になってくる。
一人一人が自分の意思を持ち、自分の意見をきちんと言える世の中でなくてはならない。そして誰もが、金色に輝くあの葉っぱを握りしめる世界でなければならないと強く思う〉(13年12月20日)
メディアを通して反戦・平和を訴える、この大竹の姿勢をぜひ今後も貫いてほしいものだが、ちなみに、大竹が離婚した明石家さんまは、以前、『さんまのまんま』でこんなエピソードを明かしている。
「ぼくは昔、日本からアメリカに、戦争のためにアメリカに寄付するということがあったとき、さすがに怒って国税局に行ったんですよ」
「俺は戦争のためとか、人殺しをアシストするために働いてるんじゃないって。そのために税金を納めてるんじゃないって言いにいったんです」(14年2月15日放送回)
離婚はしたものの、戦争を許さない意志という点では、ふたりはいまも通じ合っているのかもしれない。
(水井多賀子)
最終更新:2016.06.21 07:28