「週刊朝日」(朝日新聞出版)2月12日号
自民党・宮崎謙介議員のゲス不倫だけでなく、問題発言を乱発している安倍政権。国が年間被ばく量を1ミリシーベルト以下に定めたことを「何の根拠もない」とした丸川珠代環境相に、放送法をねじ曲げて解釈した上に「電波停止」を言い出した高市早苗総務相……。両方とも大臣の首が飛びかねない重大な問題発言だが、安倍首相をはじめ政権側は完全に居直っている。
もう何を批判されても知らんぷりを決め込めばどうにかなるだろう──こうした政権の態度には閉口するばかりだが、ここにきて安倍政権批判をはじめた人物がいる。それは作家の林真理子である。
林が安倍政権批判を口にしているのは、「週刊朝日」(朝日新聞出版)2月12日号に掲載された対談連載でのこと。この回のゲストは同じ作家の高橋源一郎なのだが、対談ではまず、高橋が昨年に出版した新書『ぼくらの民主主義なんだぜ』(朝日新書)が10万部を突破するほどに売れている話となり、林はこう言い出すのだ。
「本が出たのは昨年の春ですが、私、その頃より世の中が悪くなってるような気がして仕方がないんです」
林といえば、安倍首相の妻・昭恵夫人とは旧知の友人であり、昨年発足した安倍首相直轄の有識者会議「『日本の美』総合プロジェクト懇談会」のメンバーでもある。そのため、こうした安倍批判ともいえる発言が林の口から出てくるのは意外だが、このあとも林による安倍政権批判はつづく。
「それにしても私、安倍(晋三)さんがこれほど長期政権になって力を持つとは思わなかった。今年になって「改憲」をはっきり言うようになったでしょう。「えっ、ウソ!いつの間に世の中そんなふうに進んだの?」って感じ」
「戦争を知ってるはずの年配の人でも、「安倍さんのおかげで景気もよくなったし」とか言うし、びっくりしてしまいますよ」
さらに、『NHKスペシャル 新・映像の世紀』でヒトラーが扱われた回を観たという林は、「連立政権を組む他の党の党首が「2カ月もすればあの小僧(ヒトラー)は隅に追いやってやる」とか言ってたら、いつの間にか独裁者になっちゃって」と感想を述べている。政権を放り投げて逃げ出したくせにあれよあれよと復活、権力を振りかざして意のままに政治を進める安倍首相は、まるでヒトラーのよう……。林の含みをもたせたこの話に、高橋も「しかも圧倒的支持でね」と、安倍首相の支持率の高さと絡ませたように返答している。