「正直、プロデュース能力という意味では、事務所内に飯島に叶う人はいません。それはKis-My-Ft2を飯島が手がけて、売れっ子にしたのを見ても明らかでしょう。あの落ちこぼれグループがいまでは、事務所内で嵐に次ぐ売り上げを上げているんですからね。社内では、ジュリーさんを看板にして、飯島が裏で仕切る体制が一番いいだろうという人も多かったし、メリーさんが亡くなったら、古参幹部たちがその方向で動くのではないかと言われていた。でも、今回の騒動でその目が完全になくなってしまった。このまま、ジュリーさんが後を継いだら、どんどんタレントが離れて、ジャニーズはがたがたになるのは確実でしょう。社員の中には“これでうちも長くないかもな”なんていう者も少なくない」(前出・ジャニーズ事務所関係者)
いや、危機はその前にもやってくるかもしれない。芸能マスコミはメリー氏への批判をそらすためなのか、「年内にジュリー氏が社長に昇格」といった情報をしきりに流しているが、いまの状況をみていて、メリー氏がおいそれと実権を手放すとは思えない。それどころか、ますます猜疑心やヒステリーが強まり、第2、第3のSMAP騒動が起きるんではないか、と関係者は戦々兢々になっている。
実際、その可能性は非常に高い。たとえば、中居のちょっとした言動が耳に入ってまたクビと言い出したり、飯島氏が手がけたキスマイをターゲットに仕事を干し上げ、再び独立問題が再燃するもしれない。ジュリー派だって安泰ではない。最近でもKAT-TUNの田口が結婚問題で脱退に追い込まれたが、関ジャニ∞や嵐だって、年齢的に結婚問題が火種となってメリー氏と衝突する可能性は十分にある。
しかし、それがタレントにとってマイナスになろうと、ジャニーズ事務所にメリー氏を止められる者は誰もいない。そして、どんどんトラブルが頻発し、ジャニーズ事務所全体のイメージが低下し、ジャニーズ帝国は崩壊に向かって突き進むだろう。
一芸能事務所が将来、どうなろうと知ったことではない、自業自得だという意見があるかもしれない。しかし、ジャニーズには多くのファンがおり、ある種の公共物の側面もある。タレントたちも日々メディアに露出し、いまやニュースキャスターまでやっている者もいるほどパブリックな存在になっている。それを創業者一族が自分たちで私物化し、奴隷のように扱い、一族の利益独占のために、会社の利益に反した特定のタレントやマネージャーの芸能界追放を図るなどというのは、とても許されるような話ではないだろう。
しかも、この前近代的な体制の象徴である老人にさからえず、ひれ伏しているのは、同社の社員やタレントだけではない。この国のあらゆるメディアが、誰も批判を口にできず、言いなりになって大本営情報を垂れ流しているのだ。テレビに至っては、この暴走老人に人事まで左右されるほどに支配されている。
SMAP騒動の原因とメリー氏の実像に迫ろうと始めたこのシリーズ企画だが、取材すればするほど浮き彫りになってきたのは、実はこうしたマスコミの堕落した実態だった。最後にもう一度、強調しておくが、今回のSMAP騒動はジャニーズという一プロダクションの問題ではない。日本の社会の問題である。
(時田章広)
【検証!SMAP騒動とジャニーズの女帝→(前編)(中編)(後編)】
最終更新:2016.01.31 03:54