左・国際協力機構(JICA)公式サイト/右・衆議院議員 安倍晋三 公式サイトHPより
シリア問題は解決の糸口が見えないどころか、ロシアとトルコの緊張関係が生じるなど、ますます混迷を深めているが、ここにきて安倍政権がとんでもない外交を行っていたことが判明した。なんと、シリアのアサド政権のために約25億円の拠出を約束していたことが発覚したのだ。
この事実をスクープしたのは、本日8日付の西日本新聞。記事によると、同紙が国連開発計画(UNDP)の公式ウェブサイト上にシリアのアサド政権支配下にある火力発電所への事業計画書(英語)が掲載されていることを発見。そこには今年1〜3月にUNDPと日本が契約を結び、〈シリア第3の都市ホムス近郊のジャンダール火力発電所に、タービンの羽根や軸受けの予備を供給する内容が記載〉されていたこと、さらに〈日本政府が1825万ドル(約22億5千万円)、国際協力機構(JICA)が約199万ドル(約2億5千万円)を提供し、これが事業の全額である〉こと、この資金提供協定は今年1月に締結していることなどが書かれていたという。
しかも、この資金提供は名目上は「緊急人道支援」となっているが、記事でも指摘されているように〈電力は軍需産業や軍事活動にも欠かせず、アサド政権の延命に利用される可能性もある〉。
つまり、安倍政権がシリア問題の元凶ともいえる非人道的なアサド政権を助勢したということなのだ。これは、ISやその他イスラムの反政府組織の反発を招く行為というだけでなく、反アサド政権を表明しているアメリカやNATO諸国との共同歩調を破るものだ。
しかも、この事業は明らかに、安倍政権が深く関与している。契約の時期から推測するに、邦人人質殺害事件の直接のきっかけとなった安倍首相が今年1月にカイロで行った演説──「地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に総額で2億ドル程度、支援をお約束します」と宣言した際の支援と関係していると思われる。