しかし、日本ではこの古舘発言について大きな批判が巻き起こっている。
「誤爆事故とテロは違うだろ」「テレビで無責任に好き勝手言ってる古舘も見かたによってはテロだ」「日本を貶めたいとしか思えんわ、ほんとに」「テレ朝の報道もテロ テロ朝日」「炎上商法をやってるだけ」
毎回毎回、本当に嫌になるが、悲しいかな、こんな意見がネットでは大手をふって横行しているのだ。
確かに今回のパリの同時多発テロは、欧米を中心とした世界のメディアで大きな衝撃を持って伝えられた。同時にその瞬間を捉えた生々しい映像も多く存在する。9.11もそうだが、こうした映像は人々の脳裏に焼きつき、恐怖を植え付ける。同時にISやテロリスト、さらにはイスラム社会に対する憎悪も容易に持ちやすい。
しかし一方で、連日のように行われているシリアへの空爆で、どんな悲惨なことが起こっているのか。人権団体の報告からも、パリの同時多発テロで犠牲になった人々以上の子どもを含む民間人が犠牲となり、悲惨な現実が起こっているのだ。彼らは決してテロリストでもなれば、殺される理由すらない。なぜ、そうした想像力を持たないのだろう。
もちろんこうした空気を生み出しているのは、メディア報道が大きな原因だ。シリアやイラクの民間人が有志連合の空爆によって殺されているような都合の悪い映像は、日本を含む欧米メディアではほとんど報道されることはない。
実際、シリアではないが3年前のパキスタンで、米軍の無人偵察機に襲撃され、ケガを負った13歳の少女ナビラ・レフマンちゃんの存在を、欧米メディアの多くは無視し続けている。
欧米という、自分たちの側にいる人々が犠牲になったテロにのみ激しい憤りをみせる一方で、中東の人たちが空爆で犠牲になっても自分たちには関係のない話として無視してしまう。それが現在行われているテロ・IS報道の実態なのだ。